今季の開幕戦F1オーストラリアGP(16日決勝)において、2位でゴールしたレッドブルのダニエル・リカルドに対して燃料流量の規定違反による失格処分が下された。レッドブルはその決定を不服として、すぐに控訴手続きを行っている。これに関し、かつてF1チームのオーナー兼代表を務めていたこともあるポール・ストッダートが、レッドブルの控訴は認められるだろうとの見解を述べた。
非常に複雑なルールのもと、レッドブルはFIA(国際自動車連盟)から支給されたセンサーが不正確であるとして、自分たちが独自に計測した流量により、FIAが定めたルールに適合する範囲でエンジンへの燃料供給を行っていた。だが、レース後、リカルドのクルマは規定に違反していたとして失格処分を受けることとなってしまった。
レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、これについて次のように語っている。
「もし、この処分に抗弁するための確固たる論拠を持っていなかったとしたら、我々は控訴しなかっただろう」
ストッダートは、レッドブルがFIAに対し不正を行っていなかったと証明するだろうと考えている。スタッダートは、かつてF1チームのミナルディを買収してF1へ参入いた人物だ。その後チームは2005年に世界的飲料メーカーであるレッドブルに売却され、現在はレッドブルの兄弟チームであるトロロッソとして生まれ変わっている。
ストッダートは17日(月)にメルボルンのラジオ局『3AW』に対し、次のように述べた。
「ルノーのエンジニアたちは、どれだけの燃料がエンジンに流入されることになるのか正確に分かっていた」
「我々が話をしているのは、4億ドルから5億ドル(約400~500億円)も予算を持っているチームなんだ。彼らはFIAよりもよっぽどいい装置を持っているよ」
『Times(タイムズ)』のケビン・イーソン記者も、「(レッドブルに対し)一方のFIAは基本的にアマチュアの組織であり、予算もF1チームに比べてわずかだ」と書いている。
レッドブルはリカルドが「何のアドバンテージも得ていなかった」ということに加え、FIAからの指示を無視しようと判断したことは、ああした状況においては「正当な」ことだったと証明できるだろうとストッダートは語った。
ホーナーも、さらに次のような説明を行っている。
「我々は、センサーが示していた数値と、我々が認識していた燃料流量に明白な食い違いがあるのが分かった」
「あの(FIAが支給した)燃料流量センサーには問題があることが分かったんだ。それゆえ、我々は自分たちの独自のデータに頼ることにした。そうしなければ我々はエンジンパワーを大きく失っていただろう」
だが、FIAのF1競技委員長であるチャーリー・ホワイティングは、レッドブルに対してレース週末の間に何度もルールを守るために「必要な手順を踏む」よう助言を行っていたと反論している。ホワイティングは次のように述べた。
「仮に、彼ら(レッドブル)があの時点で我々が行った助言に従っていれば問題は起こらなかっただろうし、彼らがペナルティーを受けることもなかっただろう」
「もし彼らのセンサーが壊れていたのであれば、話は違っていただろう。(だが)今回は人的行為に関するものだ。なぜなら、彼らには(ルールを)順守するために必要なことを行う能力があるわけだからね」
メルセデスAMGのマネジングディレクターであり、エンジンの責任者であるアンディ・コーウェルも、燃料流量の計測方法は「正確かつ信頼性のあるものだ」と、レッドブルの主張の正当性を弱めるようなコメントを行っている。
コーウェルは、ドイツの『Spox(シュポクス)』に対し、次のように語った。
「すべてのチームは、燃料噴射のデータによって独自に燃料消費を計測している」
「不一致があった場合、FIAはその値とチームのデータとを比較することになる。だから、我々には安全策があるんだ」