サハラ・フォース・インディアは、来週のヘレスF1合同テストで予定される2014年型の新車VJM07発表に先がけて22日(水)、同マシンの画像をF1ファンとマスコミに向け公開した。
マシンカラーには、おなじみの濃黄、白、緑に加えて黒を初めて導入。サーキットでは以前と違う印象に感じられるだろう。
「VJM07は、まず見ためがすばらしい。それに新カラーはサハラ・フォース・インディアの進化の様子を如実に表している」と語るのは、チーム代表のビジェイ・マリヤだ。「これまでも数あるマシン中、一番目を引くのは我がチームのクルマだと思っていたが、メインカラーに黒を追加したおかげですっかり見違えたよ」
装いも新たな新車で特筆すべきは新しいコマーシャルパートナーのお目見えだ。エンジンカバーには、通信サービスのブランド「クラロ」のロゴが配されている。「クラロ」は親会社をメキシコに持つ中南米で有名なブランドで、彼らとは複数年に及ぶ契約をスタートさせたばかりだ。「クラロ」のロゴは今後、ドライバーのレーシングスーツやチームの道具一式に露出される。
またリアウイングの翼端板には「ロシュフラン」のロゴが見える。こちらは潤滑油専門の製造会社だ。「クラロ」と同じく複数年のパートナーシップをチームと締結したことが先週、発表されたばかりである。
さらにマシンには、カザフスタンの首都アスタナでスポーツ振興を支援する財団のロゴもあしわれている。こちらはノーズのサイド部分に配置された。
「技術的にも営業面でも非常に忙しい冬だった」というマリヤ。「創設の際、私がまず目指したのはF1初のインド系チームをグリッドにつけることだった。チームが進化する中、やがて目標は地球規模のブランドに成長させることに変わった。そんな野望は、パートナー企業との関係や世界に誇るドライバーのラインアップを通じて果たされたと思う。2014年は間違いなく、今までで最高のシーズンになる可能性を秘めている」
新しくなったのはマシンカラーだけではない。VJM07の内部は、新技術規則に対応して大幅な変更が加えられているのだ。「新しい規則で、我々はとてつもない挑戦に立ち向かうこととなった。しかし私は、チームが取ったアプローチや、技術陣の方針を非常に誇りに思っている」とマリヤは語る。「新ルールに対して各チームがいかなる方向性を示してくるか、とても興味深いところだ。ただし今の段階では、どのチームが一番いい仕事をしたか予測するのは不可能だ」
技術部門を統括する責任者のアンドリュー・グリーンは、前年度のマシンとVJM07の違いを端的に、次のように説明してくれた。「フロントウイングからディフューザーに至るまで、ほぼ全パーツが新設計だ。VJM07は2013年型マシンを元に造られているが、同じ結果を目指すにしろ、やや異なるアプローチが必要だったことは確かだ」
グリーンによると、もっとも骨が折れたのは新しいエンジンの搭載だ。「エンジン周りの変更はどれも気が遠くなるような作業だった。私は1990年からF1で仕事をしているが、あれほど大規模な変更は初めてだったよ。なかでも冷却が一番の難関だ。パワーユニットからの熱を冷ますために必要なこと、それを車体で最適化する方法を理解するのに、昨年の夏のほとんどを費やした」