これまでのF1キャリアにおいてもっとも輝かしい成績を上げることができている今シーズンのニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)だが、その顔にはしばしば、いら立ちの表情が浮かんでいる。
『SID通信』が報じたところによれば、カナダでいつものように記者たちからF1関連の質問を受けたロズベルグだが、苦々しげな笑みを浮かべながら記者たちをにらむと、「タイヤの問題について話しますか?」と問いかけたという。
第4戦から第6戦まで3戦連続でポールポジションを獲得し、モナコではポール・トゥ・ウィンを達成したロズベルグだが、現在F1界を騒がせるスキャンダルにまで発展した「秘密F1タイヤテスト」によってメルセデスAMGが不当にアドバンテージを得たのではないかとの疑いを持たれている。ロズベルグのこの対応は、それに対する嫌味をこめてのものだ。
だが、メルセデスAMGのエグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフは、ロズベルグは「いら立ったりなどしていない。なぜなら彼はプロ意識が高いからだ」と主張し、結局のところ今回の問題は「マネジメントの問題」だとコメントした。
ロズベルグもそれに同意し、「誰かが言ったり、書いたりしていることがそれほど重要なのかな?」と大げさに尋ねてみせた。
ロズベルグがその件に関して真実を語っているとヴォルフは主張し、次のように続けた。
「大きな才能に恵まれ、自制的に考えることができる人間なんだ。常に自分の最高のパフォーマンスを引き出すことができる。なぜなら、彼はすべてのことを切り離してレースのことだけに集中できるからね」
しかし、そのヴォルフも、自分自身がいら立っていることは率直に認め、次のように語った。
「もちろんだよ。それが何であれ、みんなは常に非難の対象を探しているんだからね」
「この問題がメディアによって、ドライバーのパフォーマンスよりもさらに重要なこととして書き立てられていることは、現在われわれに競争力が付いてきているだけに、いっそう不愉快だ」