2012年はレース活動から遠ざかっていたエイドリアン・スーティル(フォース・インディア)。ブランク明けとなった2013年F1開幕戦オーストラリアGPでは、驚くべき競争力をパドックの関係者に印象づけた。
2011年の傷害事件で有罪となった時点で、一部からドライバー生命は終わったと思われていたスーティルだが、今季フォース・インディアからF1に復帰すると、いきなり開幕戦でF1キャリア初のリードを奪う活躍ぶりだった。
イギリス『The Independent(インディペンデント)』紙のデビッド・トレメイン記者は、次のように伝えている。「スーティルのパフォーマンスは、引退からカムバックしたドイツの先輩、ミハエル・シューマッハが見せた3年分の走りより、よっぽどすごいものだった」
このレースで採用したタイヤ作戦の結果、スーティルは7位に入賞している。それでも本人は、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』にこんなことを語っている。「あまりにレースがうまく運んでビックリだよ」
「メカニックが掲げるピットボードでP1(トップ)のサインを見たとき、さすがにグッときたよ」
しかし、チーム副代表ボブ・ファーンリーにさほどの驚きはない。
「合同テストの際、注意深く観察していたら今回の躍進は想像できたと思う」
レースをコントロールしながら7位に終わるというのはあまりパッとしないが、それでもスーティルは笑いが止まらないようだ。
「3週間前、僕にはF1シートさえなかった。事前にマシンをテストできたのは、バルセロナの3日間だけだ。こんなにうまくいったなんて奇跡だよ」