2013年シーズンにF1デビューするマックス・チルトン(マルシャ)がチームメートにと望んだドライバーは、ティモ・グロックだった。
マルシャは経験豊富なグロックよりも持ち込み資金豊富な「ペイドライバー」を選んだため、チルトンのチームメートは新人のルイス・ラジアだ。チームのドライバーがふたりとも新人となることは、「理想的じゃない」と、チルトンが明かしている。
ドイツの『motorsport-total.com』にチルトンは、「経験豊かなティモとチームメートになるのを楽しみにしていたんだよ」
新人だけというラインアップに踏みきったマルシャだが、それによって深刻な問題が起きる心配はないとチルトンは語る。
「相応の実力がなければ、そもそもF1まで上がってこられないさ」
ここ数年のF1では新人ドライバーにはベテランのチームメートという典型的な布陣が少なくなったとはいえ、ふたりともF1デビューイヤーというのは稀(まれ)である。F1レースを走った経験が全くないドライバーふたりでは、不安があるように思えるが、チルトンはその状況をチャンスととらえている。
「僕たちはふたりとも、ナンバーワンでもナンバーツーでもないんだ。だから、チームは僕らを平等に扱ってくれる」
チルトンの母国イギリスの『Sky(スカイ)』局は、根本的に力不足のままF1にデビューするペイドライバーが増える現在のF1の現状を嘆いたマクラーレンのチーム代表マーティン・ウィットマーシュの発言を伝えたが、ザウバーのチーム代表モニシャ・カルテンボーンはやや異なる意見を持っている。
ザウバーのスポンサーであるメキシコの通信会社テレメックスとエステバン・グティエレス(ザウバー)起用を結びつける声も聞かれるが、カルテンボーンは一貫して無関係を主張している。F1のコスト削減を主張するカルテンボーンは、スポンサーをもつ若手ドライバーが色眼鏡で見られるのは不公平だと語っている。
「シートは常に変動するものであり、ペイドライバーはこれまでもずっと批判の的になってきたのです」
「F1デビューするドライバーは全員が高いレベルを誇っていますよ。シートの数に限りがある以上、どこのチームも最良の選択をするのは当然ではありませんか?」とカルテンボーンは締めくくった。