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佐藤琢磨、WEC参戦インタビュー。ル・マン参戦はあるのか?

2012年10月10日(水)23:22 pm

今週末に行われるWEC(世界耐久選手権)の富士戦と、最終戦の中国(10月28日決勝)に参戦する佐藤琢磨が、英語での記者会見に臨み、質問に答えた。

WEC富士合同テスト写真ギャラリー

Q:スポーツカーデビューですが、なぜ参戦を決意したのですか?

琢磨:常に興味はありました。これまでのキャリアでは、ずっとオープンホイール(フォーミュラカー)で走ってきて、今は主にインディカーで走っています。でも、インディは比較的早い時期に終わり、10月や11月に時間があるんです。

琢磨:そんなとき、昔の友人、日本でホンダでも走っていたセバスチャン・フィリップから電話があり、チャンスをくれました。僕としても、新しい経験をできて、新しい世界を見れると思いました。WECはとても競争の激しいシリーズですし、ル・マン24時間が根底にあるので、とても興味がありました。それなので、このチャンスをつかむことにしたんです。チャンスをくれた彼には感謝しています。今日、富士スピードウェイに来たばかりで、やらなければいけないことは多いですが、いい場所だと思います。

Q:テストをしてみて、クルマの感触はいかがでしたか?

琢磨:とてもいい感触でLMP1のクルマを楽しむことができました。僕が今まで乗ってきたクルマよりも重いですが、ダウンフォースも大きいですしね。それに、カウルがあってフロントタイヤが直接見れないので、「フロントタイヤはどこ?」となり、ちょっとおかしな感じもします。でも、そういうものなので、慣れるしかないですね。チームとコミュニケーションを取りながら、徐々に自信を深めていきます。チームがとてもプロフェッショナルな働きをしてくれているので、僕としてもとてもうれしいです。

琢磨:僕にとっては、日本へ帰ってくるのも大きなことなんです。僕が最後に富士スピードウェイを走ったのは、2007年の雨で寒いF1日本GPでした。あの日に比べれば、今日は気持ちのいい秋晴れで、たくさん走ることもできたので、いい1日になりました。

Q:今日はクルマのセットアップを変更していきましたか? それとも、あなたがクルマに慣れることが優先でしたか?

琢磨:もちろん、クルマに慣れる必要はあります。こういったクルマの走らせ方や、速く走らせる方法を覚える必要があります。でも、長くはかかりません。午前中の1本目、2本目で終わりです。その後は、テストプログラムに入ったんですが、とても興味深かったです。僕たちのクルマはストレートでかなり速いようなんですが、その分、コース終盤の、ダウンフォースが必要な低速コーナーの多い部分が問題になります。それなので、高い最高速を維持しつつ、メカニカル面のバランスもよくなるようクルマを改善しないといけません。

琢磨:ドライバーが3人いて違う視点からの意見もあります。僕は1台のクルマに複数のドライバーで乗るのは初めてなんですが、とても面白かったですね。今日はいろいろテストをして、貴重なデータを得たので、今日の出来には満足です。必ずしも競争力は高くないかもしれませんが、週末に向けて改善はできます。

Q:まだこれを聞くには早いかもしれませんが、3人でチームを組むことについてはいかがですか?

琢磨:すでにいい感じになっていますよ。ドミニク(クライハマー)は若いドライバーですが、耐久シリーズでの経験が豊富で、速いドライバーです。彼もおしゃべり好きなので、付き合いやすいですね。ベルトラン(バゲット)は、お互いにインディカーで走っているという共通点があります。彼は僕のチームで去年走っていたんです。

琢磨:お互いにシングルシーターでどう走るかは分かっているので、今は彼からアドバイスをもらったりしています。3人でうまくやっていますよ。

Q:レースに向けて、GTマシンなども同時に走ることについてはいかがですか?

琢磨:僕が慣れていないことの1つですね。ほかのカテゴリーのクルマを抜いていくのは、今までにない経験ですが、うまくいくことを願っています。初めての耐久レースなので、学ぶことが多い厳しいレースになりそうですが、楽しみにしています。今のところ楽しめていますし、みんなでレースするのが楽しみです。日本のお客さんがたくさん来てくれるといいですね。

Q:モナコで走り、インディ500でも走りました。ル・マンがゴールになりますか?

琢磨:ル・マン24時間は素晴らしいレースですよね。残念なことに、最近はモナコとインディ500が同じ日に行われるので、参戦できませんが、走らない理由はないです。こうしてスポーツカーをどう扱うのか学び、経験を積むことで将来への扉が開きます。インディカーのプログラムがあるので、来年のル・マンにエントリーすることはありませんが、日本と中国の2レースで経験を積み、将来はWECのチームに加われるといいですね。

Q:コースについてはいかがですか?

琢磨:以前の、超高速として知られていた富士スピードウェイはあまり知らないんです。2007年にここでF1が開催されるようになって、コースが大きく変わりました。特に終盤の区間にコーナーが増えたことで、セットアップの方向性も変わっています。以前はとても薄いリアウイングで走っていんです。重要なのは、ストレートでのスピードと、2つのシケインへのブレーキングだけでしたからね。

琢磨:今では、たくさんのコーナーや長いコーナーもあるので、超低ダウンフォースから、ダウンフォースを増やす方向へ変わっています。1.5kmもある長いストレートには向きませんが、ラップタイムではコーナーの多い最終区間で速いクルマにする必要があります。

琢磨:長いストレートで追い抜きもチャンスもあるので、いいコースだと思います。それ以外の部分では、超高速と難しいコースというまったく異なる2つの特性があるので、挑戦しがいがあります。

Q:本田宗一郎(ホンダの創業者)さんの言葉で印象に残っているものはありますか?

琢磨:僕はお会いしたことがありませんが、伝説的な方です。日本だけではなく、世界中で大きな尊敬を集めているんじゃないですかね。決してあきらめず、たくさんの新しい挑戦をされました。実際にお会いしたことはないので、メディアを通じてホンダのDNAだということを知っているだけですが、素晴らしい方で、とても情熱的な方でした。いい意味でも、悪い意味でも、いろいろと話を聞いていますF1に参戦していたころは、彼と親しかった方と働いていたので、彼の素晴らしい話を聞くのが好きでした。

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