マセラティは9月29日(土)から10月14日(日)にかけて開催されるパリ・モーターショーで、新たに「グランカブリオMC」を発表する予定だ。このグランカブリオMCは2010年に発売されたグランカブリオをベースとして、同社のオープンタイプスポーツカーをさらに進化させたもの。レースで培われたスタイルや高性能に加え、実用性も兼ね備えた4人乗りコンバーチブルとなっている。
グランカブリオMC
グランカブリオMCは、レースカーとしての特性を生かしながらも一般道走行に向けてアレンジして好評だったグランツーリズモMCストラデールの特性を受け継いだ正統進化版ともいえるモデルで、スポーティーかつアグレッシブな風ぼうを持ちながらも長距離ドライブに最適なグランドツアラーとしての性格を兼ね備えたオープン・トップ・スポーツカーだ。
外観はこれまでのマセラティ車の特徴を受け継ぎながらも、さらにスポーティーで、ダイナミックかつエレガントなデザインが施されている。フロントおよびリヤにはレースで培われたノウハウを生かした新たな空力パーツが組み込まれたことにより、これまでのグランカブリオやグランカブリオ・スポーツに対して全長が48ミリメートル長くなっているが、これらの効果によりこれまでのモデルと比較してフロント側で25パーセント、リヤ側で50パーセントもの揚力向上が見られるという(140km/h走行時)。
ヘッドライトはこれまでにグランツーリズモやグランカブリオにも採用されていた日中点灯用LEDが組み込まれたユニットが継承されているが、最新の技術が導入されたライトにマットブラック塗装が施され、さらにスポーティーな顔立ちを生み出している。また、バンパーはこのモデルのために新たにデザインされたもので、スポーティーな外観イメージを強めるとともに、空力効果もより最適化が図られている。また、エキゾーストはリヤバンパーのセンター側の低い位置に設けられ、ボディー下からの気流を集めることより安定した走行を可能としている。
搭載されるエンジンは新型4.7リッターV8。強化アルミ合金で製造されたこのエンジンは最大出力460馬力、最大トルク520Nmを発生する。このエンジンと「MCオートシフト」トランスミッションの組み合わせにより、最高速度は289km。hに達するとともに、0-100km/hをわずか4.9秒で達成。6速オートマチックであるMCオートシフトはノーマル自動変速、スポーツ自動変速、ノーマルマニュアル変速、スポーツマニュアル変速、そしてアイスモードという全部で5種類の走行モードが選べるようになっている。マニュアルモードではステアリングに設けられたパドルシフトで変速を行うが、ノーマルマニュアル変速では一定の範囲を超える場合には自動的に適切なギアに変速されるように設定されているものの、スポーツ・マニュアルモードではドライバーがギアチェンジを行うまでは、たとえオーバレブが発生し、あるいはリミッターが作動するようなことがあっても選択されたギアにとどまるようになっている。
また、このグランカブリオMCではサスペンションも強化されており、快適性を損なうことなく、スポーツ性能を最大限に発揮し、どんなコンディションにも耐えうる剛性を実現している。さらに、ブレーキにはマセラティ独自のデュアル・キャスト・システムが採用されており、強力かつ安全なブレーキングが可能となっている。このシステムにより、時速100kmから停止までわずか35メートルしか必要としないという。こうした高性能をいかんなく発揮させるために、グランカブリオMCのモノコック・シャシーはこれまでのマセラティとは違う素材で製造されている。ベースとなる部分には強化スチールが用いられるとともに可動部品にはアルミや合金が使われ、軽量化を図るとともにさらなるねじれ剛性強化を実現している。
グランカブリオ・スポーツ
また、今回のパリ・モーターショーには、すでに8月のモスクワ国際自動車ショーでデビューを飾っている新型グランカブリオ・スポーツも紹介されることになっている。
このグランカブリオ・スポーツは従来のデザインを一新。新設計となるフロントバンパーやヘッドライト、改良型サスペンションや、より強力なエンジンを搭載したコンバーチブルモデルだ。
従前のグランカブリオと比較して、最も大きな変化を与えているのが、新型のライトクラスターが採用されたフロントデザイン。以前のスタイルを維持しつつも、LEDデイタイムライト技術を含む完全に新しい技術が採用されている。
また、搭載される改良型V8エンジンは最大出力460馬力、最大トルク520Nmを発生。燃費や環境汚染レベルはそのままに、従前モデルよりもそれぞれ10馬力・10Nmの向上を実現している。このエンジンにMCオートシフト・トランスミッションが組み合わされることで、最高速度は285km/h、0-100km/hは5.0秒を達成している。