残り6戦となったF1の2012年シーズンは、一騎打ちになるという見方が多い。
シンガポールGPのレース前、このレースの結果がチャンピオン争いにとって非常に重要だとマクラーレンのチーム代表マーティン・ウィットマーシュは語っていた。
そして結果は、マクラーレンのルイス・ハミルトンにとって厳しいものとなった。ハミルトンは、ポールポジションを獲得しトップを走っていたが、ギアボックストラブルでリタイアに終わったのだ。これによってハミルトンは、ランキング首位のフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)に対して残り6戦で52ポイントもの差をつけられてしまった。
ハミルトン自身はレース後に、「決してあきらめない」と語っている。
しかし、チームメートのジェンソン・バトンは、決着はほぼついたと見ている。バトン自身は、ハミルトンからさらに23ポイント差のランキング6位である。
「現時点では、(アロンソに追いつくことは)セブ以外、誰にとっても難しい」とバトンは語り、タイトル争いに残っているのはセバスチャン・ベッテル(レッドブル)だけだという見方を示した。
シンガポールGPで優勝したベッテルは、ランキング2位に浮上し、アロンソとの差を29ポイントに縮めている。
過去3度のF1チャンピオンに輝いたニキ・ラウダは、解説を務めるドイツのテレビ局『RTL』でこう語った。「(シンガポールGPで)レッドブルは、マクラーレンとまったく同じくらい強かった」
ベッテルに次ぐランキング3位にいるのは、ロータスのキミ・ライコネンだ。しかし、ライコネンは2012年シーズンまだ1勝も挙げておらず、アロンソに対して45ポイントの差がついている。
「あの2人の戦いだ」とバトンはアロンソとベッテルの名前を挙げた。「ただ、望みが薄い位置には、まだ大勢いるよ」
1990年代にザウバーからF1に参戦していたオーストラリア人のカール・ベンドリンガーも、シンガポールGPでハミルトンはタイトル争いから脱落したという見方を示した。
「もうアロンソとの差が開きすぎた」とベンドリンガーはオーストリアのテレビ局『ORF』で語った。「ハミルトンにとっては難しいと思う」
だからといって、今後ハミルトンがポールポジションを獲得したり優勝したりしなくなるわけではない。
「次のサーキットの鈴鹿では、マクラーレンのハミルトンとレッドブルのベッテルがすごくいいのではないかと思う」とベンドリンガーは次の日本GPへの予想を示した。
もうひとつ忘れてはならないのが、アロンソがシンガポールGPでは精彩を欠いていたことだ。従って、もしアロンソとベッテルが「完全に失敗し、ハミルトンが日本で優勝したら、まったく別の様相を示すことになる」とベンドリンガーは語った。