26日(土)に行われたモナコGP予選で、2006年以来となる予選トップタイムを記録したミハエル・シューマッハ(メルセデスAMG)は、このところささやかれていた引退の二文字を見事に払しょくした。
見事な走りで結果を出した今、シューマッハをめぐる批判は鳴りをひそめたばかりか、最年長現役ドライバーであるシューマッハと契約延長という声も聞かれるようになった。
しかしシューマッハ本人は、このうわさをシューマッハにとっての朗報ととらえた報道陣を笑顔で一蹴している。
「たった1回、結果を出したからといって、突然全然違う話が持ち上がったり再開したりするのかい? そんなわけないさ」
シューマッハの反応は冷静だったが、チーム代表のロス・ブラウンは契約延長に前向きな姿勢を示した。
「ミハエルがこの走りを続けてくれるのであれば、いつまでもわれわれのチームにいてほしい」とブラウンは『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌に喜びを語り、26日にはフェラーリで黄金時代を作り上げた盟友による久々の快挙に涙が出たと話した。
ドイツの『Bild(ビルト)』紙は「かつてのシューマッハ」が帰ってきたと見出しをつけて母国の英雄をたたえた。メルセデスのモータースポーツ責任者ノルベルト・ハウグは「われわれはずっとミハエルを信じていた。彼にはまだ力があると分かっていたよ」と話している。
『Die Welt(ディー・ヴェルト)』によると、シューマッハとの契約更新についてたずねられたハウグは、「われわれは急ぐつもりはない」と答えたようだ。
2013年のドライバー市場についてハウグは、「チェスのようなものだ。動きがあるときはしっかり見ていなければならない」と続けた。
新たな契約を結ぶかどうかはともかく、シューマッハの予選トップタイムは快挙だとF1界は高く評価した。前戦スペインGPでのペナルティーにより5グリッド降格を受けて6番手からのレーススタートを強いられたが、この快挙を認めない者はパドックにはいない。
「久々のポールポジションを楽しめなかったミハエルは気の毒だね」とフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)はスペインの『Antena 3(アンテナ3)』局に語った。