前戦バーレーンGPで、ようやく現F1チャンピオンのセバスチャン・ベッテル(レッドブル)が今季初優勝を記録したが、昨年までのようにレッドブルがF1を席巻する時代は終わった。
性能低下の早いピレリタイヤが波乱の展開を演出し、各チーム間の力関係が拮抗(きっこう)したため、4チームか5チームに年間タイトルの可能性があると言われている。
マーク・ウェバー(レッドブル)は、今週のムジェロテスト中、『Sydney Morning Herald(シドニー・モーニング・ヘラルド)』にこう語っている。
「僕らのクルマが速いのは確か。でもほかにも速いクルマがたくさんいるのも確かだね」
「いくつかのチームがいい走りをしているから、僕らは本気でかかっていかないと痛い目をみることになる」
シーズン開幕直後は、マクラーレンが一番総合的な戦闘力があるように見えた。
「ジェンソン・バトン(マクラーレン)がまたチャンピオンになれない理由はない。ただ、ほかの4~5人にも同じ事が言えるがね!」と『The Sun(サン)』に語ったのは、イギリスの有名解説者マレー・ウォーカーだ。
また、テスト2日目の2日(水)にロメ・グロジャン(ロータス)がトップタイムを叩き出したことにより、ウェバーは2012年の注目チームについて考えを変えたようだ。
「すべてのレースとテストを見ると、ロータスが一番安定したチームだということが分かる」とウェバーは、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に語っている。
グロジャンと小林可夢偉(ザウバー)はこの日、1000分の1秒まで同じタイムを記録したが、可夢偉のタイムはソフトタイヤを装着して記録したものだった。グロジャンは、それよりも2段階硬いハードタイヤでこのタイムを記録していた。
メルセデスAMGのチーム代表ロス・ブラウンは、最も重要な課題はピレリタイヤを理解する事だとも言っている。
「どのチームにとっても不安定な開幕4戦だった」
「(タイヤについては)中国でやったようにうまくいけば結果がちゃんと出るから、刺激的な課題だと言える。ただ、普段の課題よりもさらに奥が深いんだ」
「どのチームも扱いに慣れてくると、タイヤが左右するレースも少なくなって、一番速いクルマか一番いいチームが抜けて出るようになるよ」とブラウンは『DPA通信』に語った。