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F1バーレーンGPの見どころ

2012年04月19日(木)9:31 am

昨年は騒乱状態のため中止になり、現在も暴動が続いているとして中止を求める声が多かったF1バーレーンGPが、今週末に開催される。

・問われた開催の是非
昨年にバーレーンでは、開幕前のテストと開幕戦が予定されていた。しかし、アラブ諸国で発生した大規模な反政府運動「アラブの春」によってバーレーンも騒乱状態となり、テストとレースは中止となった。当初は延期という扱いになり、シーズン終盤に開催することが決まったものの、治安が回復していないこと、過密日程による負担、そして人道的な理由から開催に対する批判が高まり、結局は中止されることとなった。

2012年は第4戦として日程が組まれたが、バーレーンでは今も反政府活動が継続中だと報じられている。そのため、今年もレースを中止にすべきとの意見が高まったものの、主催者側や統括団体FIA(国際自動車連盟)は開催に問題はないと判断し、レース開催を決めた。

反政府派や人権問題の活動家がF1を利用して抗議活動を展開することを表明したとの報道もあるが、すでに現地入りしたメディア関係者によると、都市部は比較的平穏な状態だという。しかし、郊外では抗議集会も行われ、火炎瓶や催涙ガスが使われているとのことだ。また、幹線道路やサーキット周辺では完全武装の軍隊が警備しているほか、警官も増員されており、厳重な警備態勢が敷かれているという。

・開催サーキット
バーレーンGPが開催されるのは、首都マナマ近郊のバーレーン・インターナショナル・サーキット。前回に開催された2010年は、F1の選手権化60周年を記念して耐久レースで使われる非常に長いレイアウトが採用されたが、今年は以前のレイアウトへ戻される。

長いストレートがあるほか、低速から高速のコーナーまでそろっている。中でも、4本の長いストレートの後には低速コーナーが続いており、レイアウト的には比較的追い抜きしやすいコースだ。しかし、砂漠に囲まれたサーキットであるため、走行ライン以外は砂で滑りやすくなっていることが多い。また、昨年から導入されたピレリタイヤは、「タイヤかす」と呼ばれる摩耗したタイヤの破片が大量に発生することから、前車を追い抜く際に走行ラインを変えた場合には、その影響も懸念される。

・タイヤの使い方が重要に
バーレーンは高温になることから、気温の高さがF1マシンに与える影響は大きい。エンジンやギアボックスの冷却以外にも、特にタイヤへの影響が大きくなる。熱帯で行われたマレーシアGPの決勝が雨に見舞われたため、暑いコンディションの中でタイヤがどんな反応を見せるのか分かっていない部分も多く、タイヤの使い方を含めた暑さへの対処が重要になってくる。

タイヤサプライヤーのピレリがバーレーンGPに持ち込むドライタイヤは、4種類あるコンパウンドの中で中間の軟らかさであるソフトとミディアム。ソフトはタイヤ側面のロゴやブランド名が黄色、ミディアムは白で書かれている。決勝では、雨用のタイヤを使用しない限り、2種類のドライタイヤ両方を使わなければならない。

・優勝争いは?
前戦の中国GPに優勝したメルセデスAMGは、直線でのスピードが武器の1つになっているため、長い直線のあるバーレーンでも強さを発揮する可能性がある。しかし、タイヤへの負担が大きいクルマになっており、他チームよりもタイヤの性能低下が大きくなっていることが弱点でもあるため、高温のバーレーンでこの問題を克服できるのかがメルセデスAMGの課題になるだろう。

そして、開幕からの3戦で最も安定した速さを見せてきたマクラーレンが、今回も優勝候補になると思われる。これに対しレッドブルでは、セバスチャン・ベッテルが排気システムに満足できておらず、この問題を解決することが重要になってくる。

・小林可夢偉、ザウバーの動向は?
中国GPでは、自身最高位となる予選4番手になり、ほかのドライバーがペナルティーを受けたことで3番手からレースをスタートした小林可夢偉。しかし、可夢偉のグリッド上では、前座レースで発生したオイル漏れのオイルが路面に残されており、スタートに失敗。その後もレース戦略がうまくいかず、10位でレースを終えた。

2週連続での開催であるため、ザウバーは大幅な改良を行わないとみられるが、他チームも大幅な改良はないと思われる。そのため、暑いコンディションの中でうまくタイヤの性能を引き出すこと、そして、戦略を成功させることが上位入賞へのカギになるだろう。

2012年F1第4戦バーレーンGPは、20日(金)現地時間10時(日本時間16時)に開幕。決勝は、22日(日)現地時間15時(日本時間21時)にスタートする。

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