アルファタウリは、今後F1マシンのパーツの多くをレッドブルから調達するのではなく、もっと自分たち独自に設計・製造するパーツを増やしたいと考えているようだ。
■現在レッドブルから多くのパーツを購入しているアルファタウリ
現在のルールでは、チームがほかのチームから特定のパーツを購入することが認められており、レッドブルのセカンドチームであるアルファタウリは従来このルールをフルに活用してきている。
しかし、F1ではバジェットキャップ(チーム予算上限)の導入により、ライバルチームからパーツを購入するよりも自分たちで製造する方が経済的に魅力的なものとし、F1が本来目指してきたチームの独自性を高めたいと考えているようだ。
■レッドブルのパーツを使用することのデメリットも
だが、アルファタウリのチーフレースエンジニアを務めるジョナサン・エドールズによれば、イタリアのファエンツァに拠点を構えるアルファタウリが今後より多くのパーツを自作することを検討しているのには、別の理由もあるという。
「レッドブルは、作業工程にまったく異なる選択肢を持っているんだ」
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』にそう語ったイギリス出身エンジニアのエドールズは次のように続けた。
「レッドブルのパーツ開発と製造のスピードはまさに驚異的だよ。彼らはギリギリまであらゆる変更の可能性を残しておくことができる。それは本当に素晴らしいことだよ」
しかし、コンポーネントをライバルから購入するチームは、自分たちが購入するものについて事前に正確に知りたいと考えるのが普通だという。エドールズはこのことについて次のように説明している。
「例えば、我々はエアロダイナミクスを、その下にある特定の部品に基づいて定義したいと思っている。しかし、もし、我々が彼らからそのコンポーネントを調達する場合には、非常に遅くならないと最終的なデザインに関する情報を得られないんだ」
「そのことで、我々の空力に影響を与える可能性が出てくるんだ。我々はほかの者が計算した形状で作業することになるからね」
2022年にはレッドブルがドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルを独占する強さを示した一方で、レッドブルと同じホンダエンジンを搭載し、レッドブルと共通のパーツを多く備えたアルファタウリは現時点ではコンストラクターズランキング9番手に沈んでしまっている。
エドールズの説明によれば、レッドブルからパーツを購入していることが、自分たちのマシン開発がうまく進まない原因のひとつになっているのかもしれない。
■独自にパーツ開発できるだけの経験も積んだアルファタウリ
それゆえ、2023年以降に向けて、アルファタウリではレッドブルから購入するパーツを減らし、自分たち自身でそれを製造する方針に切り替えることになるようだ。
「1年やってきて、新しいマシンに関して多くの経験を積んできた」
「我々は、どういう条件でそれが機能するかがわかっている。つまり、我々はもはや特定の部品に対してそれほど柔軟である必要はなく、それが軽量化にもつながるんだ」
そう語ったエドールズは、次のように付け加えた。
「今では、これまでとは違うやり方をしていることがいくつかある。それは、我々がこのマシン、このタイヤ、このレギュレーションがどのように機能するかを理解できているからなんだ」
■アルファタウリの方針変更がレッドブルとの関係に影響?
だが、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』によれば、そうしたアルファタウリの決断は、実際のところ、レッドブルとの間に摩擦を生じさせているかもしれないという。
レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、アルファタウリの決断はむしろエドールズのようなエンジニアのプライドに関わるものだと考えているようだ。
「どのチームも、十分な予算があればすべてのレースに勝つことができると信じている」
「とにかく、彼らは自分たち自身をそうやって納得させなければならないんだ」
そう語った79歳のマルコは、次のように付け加えた。
「しかし、彼らは何年も前に気付くべきだったんだ。そうではないということにね」。