1日(火)にアブダビで行われたタイヤテストをもって、F1は、2015年の全走行を終了した。次にマシンの咆哮(ほうこう)が聴かれるのは来年2月の冬季テストである。そのとき、フェラーリが持ち込む新型マシンは一身にF1界の注目を集めそうだ。果たしてフェラーリは今度こそメルセデスAMGを倒せるのか。
中でもひときわ鋭い視線を浴びせそうなのが、フェラーリ・ウォッチャーで有名なイタリアのマスコミだ。
『La Stampa(ラ・スタンパ)』紙は次のように報じる。「2016年は真実の年となるだろう」「スクーデリア(チーム)がトップに返り咲くまで、あと一歩だ」
過去2年、メルセデスAMGは文字どおりF1を独占した。今年復調したフェラーリにF1界の視線が集中するのも当然である。2週間前の第18戦ブラジルGP、跳ね馬は、ひと際トップに近づいたように見えた。
しかし最終戦アブダビGPでメルセデスAMGは、ふたたび力を取り戻した。
「マラネロ(フェラーリ本拠地)は憂慮しているに違いない」とアブダビのレース後に分析したのは、『Corriere dello Sport(コリエーレ・デロ・スポルト)』紙だ。「なぜなら、メルセデスAMGの優位は依然として動かしがたいからだ」
『La Stampa(ラ・スタンパ)』紙は次のようにいう。「メルセデスAMGの両ドライバー(ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグ)が最上位からスタートしてノーミスで走り切ると、彼らにはとても敵わない。冬の数ヶ月でその差を埋めたいフェラーリだが、果たして時間は足りるだろうか?」
今年みごとに復活したフェラーリをもってしても、来年、さらにメルセデスAMGに接近する保証はどこにもない。チーム代表のマウリツィオ・アリバベーネでさえ、これは認めざるを得ない。
「だが一年前、それはあたかも『ミッション・インポッシブル』だったではないか。今は可能だと分かっている」
2015年シーズン、メルセデスAMG勢の16勝に対してフェラーリは3勝。それを一人でマークしたセバスチャン・ベッテルは、今年チームが遂げた進歩を認めながらも次のように語る。「いちばんの困難は、最後の一歩なんだ」
元F1ドライバーのデビッド・クルサードも同意見だ。メルセデスAMGの圧倒的な実力はほとんど「過去に例がない」と、彼はイギリス『Telegraph(テレグラフ)』紙に、次のように語る。
「レッドブルはひどいと皆いうが、マージンなどほんのわずかさ」「メルセデスAMGは、これとは別物だ。2000年代前半に栄華を誇ったフェラーリでさえ、これほどのスピード差を享受していただろうか。私にはその記憶がない」