ホンダと組んで2015年シーズンに再出発するマクラーレン。しかし、昨年11月を始めに3回の走行を終えて、シーズン序盤からいきなりグリッド上位を狙いますとはいえない状況になってきた。
約20年にわたるメルセデスとの関係を断ち切って、F1復帰を果たしたホンダとワークス契約を交わしたまではよかったが、走り始めから周回数も速さも伸びを欠いている。
■テストで露呈した厳しい現実
これまでマクラーレンは「サイズ0」の異名を取るMP4-30と革新的なホンダのV6ターボが秘める可能性ばかりを強調してきたが、今になって、日英連合の新プロジェクトが開幕戦オーストラリアGP(3/13-15)に臨むには、もっと時間が必要だといい出した。
「これだけの新コンセプトに、新たなエンジン・パートナーだ。走行距離が足らなければ、それに比例して追い上げは難しくなる。あるいはこう置き換えてもよい。開幕戦がもっと先なら、より戦いの準備が整う」と『PA通信』に語るのは、レーシング・ディレクターのエリック・ブーリエだ。
「毎回、走行距離や開発の目標に届かなければ、それだけマシンとパワーユニットの性能を100パーセント発揮して優勝を目指す時期が遅れる」
先週のヘレス合同テストでマクラーレン・ホンダはもっとも信頼性が低く、しかも遅いクルマだった。メルボルンまではあと二回、合わせて八日の走行しかない。
ヘレスでもっともタイムが遅かったのは、フェラーリから呼び寄せたエースのフェルナンド・アロンソだ。ラップタイムを集計すると、最速のフェラーリから15秒以上も遅かった。
それだけではない。ヘレスの四日間で計測されたマシンの総走行距離は、2014年のF1王者メルセデスAMGが積み上げた516周に比べ、MP4-30は79周と、ダントツのビリだ。
■アロンソの思い
スペインのメディアに2015年の目標をきかれたアロンソは11日(水)、次のように答えた。「まず最初に、われわれの競争力を判断する必要がある」
「最初のテストでは、最大のパワーで走ることができなかった」とアロンソ。
「全パワーを得たとき、さらに二戦、三戦とレースを進めるうちに自分たちの速さが見えてくるだろう。初年度の目標を掲げるのはそれからだ」
フェラーリに五年在籍した後、マクラーレンに復帰したアロンソ。彼が日本の伝統に心酔しているのは有名な話だ。背中には大きなサムライのタトゥーがあるし、古いサムライの文言をよくツイートしている。
「僕は日本を愛している」とアロンソ。「日本の文化、そして伝統。1980年代にマクラーレンと成し遂げたパートナーシップの成功以来、ホンダは憧れの名前となっている。僕自身、光栄だよ」
従って、将来の目標はひとつしかない。
■今後の目標
「ゴールはF1世界選手権の獲得だ。僕らは勝ちたい。勝つためにこのチームにやってきたのだから」と語るアロンソ。
「最初の年か、あるいは次か、三年めか、それは分からない。でも、なるべく早く勝てるよう願っている」と今週、日本を訪れたアロンソは話していた。
「栃木県さくら市にあるホンダの研究所を訪れたが、才能豊かなスタッフがとても多かった。他チームと比べても、多くの先進技術をこの目にした」
「最初のテストでは、情熱と規律をヒシヒシと感じた。ホンダとマクラーレンの全エンジニアとメカニックが一心同体となって働いていた」
「ホンダのDNAを垣間見た思いがする。僕もその一部になれて嬉しい」と話すアロンソだった。