メルセデスAMGがライバルメーカーのF1参入を熱望している。母国ドイツでシルバーアローと高級車市場の覇権を争う、BMWとアウディの二社だ。
彼らの登場を待ちわびるのは、メルセデスAMGの親会社ダイムラーの最高経営責任者ディーター・ツェッチェ。今年ついに、ぶっちぎりで念願のF1ドライバーズとコンストラクターズ両選手権制覇を成し遂げたのだから鼻息が荒いのも当然である。
ツェッチェはドイツ『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』紙に、次のように語った。「われわれは、世界で高級車市場の80パーセントをアウディならびにBMWと分け合っている」
「われわれがレッドブルやフェラーリ、その他のチームに多大な尊敬の念を抱いているのは、いうまでもない」とツェッチェ。「それでも、他メーカーによるチーム参入は大歓迎だ」
■成功までの困難な道のり
ホンダのF1撤退後、そこから生まれ変わったブラウンGPをメルセデスAMGが買い取ったのは2009年の終わり。当時は、ミハエル・シューマッハとの成功を夢見ていた。
ツェッチェはいう。「勝つのがこれほど困難で、時間がかかるとは思わなかった」
もちろんF1は勝って終わりのはずがない。
「われわれが物ごとに取り組む姿勢は徹底している」とツェッチェ。「F1を止めようと考えたことはないし、何か変更を加える予定もない」
■今後のモータースポーツ計画とF1への取り組み
今年始まった電動シングルシーターの新シリーズ、フォーミュラEは「検討の価値あり」とするツェッチェだが、ルマン24時間復帰については次のように一蹴した。
「24時間のために丸一年を費やすのは、費用対効果を考えると見合わない」
また、昨今いわれているF1危機にツェッチェは否定的だ。
「F1が終わったなんてとんでもない」と61才のツェッチェ。「今年ほど興奮したシーズンは思いつかない」
「あれやこれやと批判しているのは、ほとんどが成功と縁のなかった者たちだ」
F1を貶める発言をした人間にもツェッチェは、批判的な目を向ける。たとえばバーニー・エクレストンだ。
「おそらくわれわれは、F1の底力を生かしきれなかったのだ。正式なルートで話をしようにも、まるでプロらしさが感じられなかった」とツェッチェはいう。
「われわれは、かつてないほどF1に力を注いでいる。F1を、その名にふさわしいプロスポーツにしようと頑張っている」
「今いちばんの課題は、いかにしてもっと若年のファン層にアプローチするかだ」