ホンダは、福岡県北九州市が取り組んでいる「北九州スマートコミュニティ創造事業」における共同実証実験として、給電機能を装備した燃料電池電気自動車「FCXクラリティ」による公共施設への非常用電力供給実験を開始した。この実験では、一般家庭のおよそ6日分の使用電力に匹敵する最大出力9kWの外部給電機能を装備した「FCXクラリティ」を北九州市の「いのちのたび博物館」に配置し、非常用給電が行われる。
ホンダは、2013年4月より経済産業省の「スマートコミュニティー実証」事業の一環として、電力ピークカットに貢献する電力平準化の新たな方法としてV2H(ビークル・トゥ・ホーム)実証実験を開始。すでに北九州市環境ミュージアムの敷地内にある「北九州エコハウス」に「FCXクラリティ」から電力供給を行っている。
今回の実験では、「FCXクラリティ」の可搬型インバータボックスから、「いのちのたび博物館」の10kW蓄電装置へ電力を供給。これにより、緊急時における移動可能な発電設備としての「FCXクラリティ」実用性や、災害時に避難所となる公共施設への非常用給電であるV2L(ビークル・トゥ・ロード)の効果検証を行っていくことになる。
ホンダでは、かねてより化石燃料の代替、排出ガスの削減、地球温暖化への影響の低減という観点から、燃料電池を将来の究極のクリーンパワーととらえ、積極的に開発を行っている。今後もクルマから家庭への外部給電という新しい価値の実証実験を通して、燃料電池電気自動車の普及と、クリーンで持続的な水素社会の実現に取り組んでいくとしている。