今年の第45回東京モーターショー(東京ビッグサイト、11月5日(日)まで)を見て回ると、自動車の未来はEV(電気自動車)、AI(人工知能)、コネクティッド(様々なモノと繋がる)が目立っている。将来的には自動車にもスマートフォンの機能がそのまま搭載されていくのだろう。
一方、トヨタやマツダ、スバル、ポルシェなどはただ移動する手段としての自動車ではなく、「走って楽しい」という自動車の姿も追求したい、という想いが伝わってきたのが印象的だ。
■サイドミラーはサイドカメラへ
100年に一度の大変革と言われるほど自動車が激変しようとしている中、一般ドライバーが実際に運転する時に目にするものの一つが『ミラー』だ。そのミラーはすでに発売中の多くの自動車のリアゲートにカメラが埋め込まれ、後方視界をモニターで確認する車が増えてきているが、近い将来サイドミラーも『モニター』が主流になりそうだ。
複数メーカーのコンセプトカー、そして発売間近の新車の多くのサイドミラーには、正面から見るとレーシングカーよりも小さいモノになっているのがわかる。そこにあるのは『カガミ』ではなく『カメラ』だ。
次世代のドライバーにとっては、サイドミラーではなくサイドカメラと呼ぶのが当たり前になる日も近いのでは、とも感じるほどだ。何年後かは「サイドミラーって何?」という人も出てくるだろう。
しかし、その両サイドのカメラ映像を見る「ドライバーの目線」をどこに持っていかせるのか、各社は答えをまだ決めかねているのかもしれない。
アウディの『Elaine(エレーヌ)』というレベル4の自動運転技術を搭載した電動SUVクーペのコンセプトカーは、サイドカメラの映像をドアに埋め込んでいる。だが、通常のサイドミラーよりもミラー1つ分、目線が下になることで視野が車内に集中してしまうようにも感じた。
■三菱電機はダッシュボード内にサイドミラーを
そのサイドカメラの一つの解を提案したのが三菱自動車ではなく三菱電機の『EMIRAI4』というコンセプトカーだ。三菱電機は実際に自動車を販売する計画はないというが、今でも多くの部品を複数の自動車メーカーに供給しているサプライヤーの一つだ。その三菱電機『EMIRAI4』のサイドカメラの映像は、ドライバー正面の大画面部分に表示されるようになっており、運転中でも目線を大きく移動せずとも左右の状態を確認できる。視野が下がりにくいという安心感があった。
■車内にもカメラ。自動車も顔認証へ?
同じく、三菱電機『EMIRAI4』の車内には広角カメラが設置されており、運転席と助手席に乗った人の『顔認証』をすることで、将来的には各々の好みの温度やシートポジションなどを自動的に設定したり、脇見・居眠り・快適度・急病発生の検知機能、そして自動運転からマニュアル運転への切り替えをしていいかなどの判断ができるようになっていくという。こんなところも人工知能、そして膨大なデータと繋がることでより性能が進化していくことが想像できる。
中央には大型のタッチパネルも搭載し、スマートフォンのように操作することも、丸いノブで操作することもできるようにしており、直感的な操作感を目指しているのがわかる。
■自動運転技術に新しい提案
また、三菱電機は自動運転技術にも力を入れており、世界初となる準天頂衛星からのCLAS信号により、わずか誤差6cmほどの高精度測位を実現。この開発を進めることで、例えば白線が雪で埋もれている場合などでも安全な自動運転が可能になるという。地上の白線などを車のカメラが見るだけでなく、宇宙からも車の位置を把握することで、様々な道で自動運転が可能になるだろう。
■自動車は感情を持つ
フルEVカーを発表したホンダを含む各社のコンセプトカーには「表情」を持つ車が多い。車の前後などにパネルがあり、そこに顔文字のような表情、言葉などが表示される。車が知能を持つ、まさに映画『カーズ』の世界が現実になっていくようだ。それが車に必要かどうかというより、ドライバーと車が交流することでより身近に感じていくことだろう。
電気自動車・自動運転車、という環境・安全の普及が近づくとともに、人工知能によって快適・安全・感情を持つ車に乗る日も近いかもしれない。東京モーターショーは土曜までは10時から20時まで、最終日となる11月5日(日)は10時から18時まで開催されている。