今年からF1では新予選方式を導入したり、新たなタイヤルールが導入されたりすることになっている。
だが、元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーは、そういった試みも現在のF1が抱える問題を修復するには十分ではないと主張している。
■細かなルールを変えても大きな意味はない
ベルガーは、母国オーストリアの『Tiroler Tageszeitung(チロラー・ターゲスツァイトゥング)』紙に、新予選方式を導入しても、それがすぐにF1人気復活にはつながらないだろうと次のように語った。
「予選方式に問題があったわけではないからね。誤解はしないで欲しいんだ。新しい予選はもっとワクワクしたものになるだろうからね」
「だけど、例えばレースの開始時間が適正かどうかとか、そういう細かいことをどうこうしても仕方ないと思っている。例を挙げれば、MotoGPは同じ時間にレースが行われるし、これこそ本格的なレースが最高の状態で行われるという見本だよ」
■現在のF1問題の根源は?
ベルガーは、現在F1が抱えている問題の多くは、現在チームが結んでいる契約のあり方にあるのだと考えている。
「F1の本当の問題は現在の協定にあるんだ。すべての契約は2020年まで有効だとされているから、もし何かを変えたいと思っても全員の合意が必要になってしまう」
かつてトロロッソの共同オーナーだった時期もあるベルガーは、次のように付け加えた。
「そして、すべてのチームが何かに合意するなんて不可能なんだ」
最近、F1最高責任者であるバーニー・エクレストンに対する風当たりも強くなり、早期に後任を指名すべきだとの声も上がっている。だが、ベルガーはそうした意見は的外れだと主張し、次のように付け加えた。
「エクレストンがいてもいなくても、現在の協定がある限り、何も変わらないよ」
■“ハロー”は過剰
だが、2017年にはF1レギュレーションが多少なりとも変わることは確かだ。そして、「ハロー型」と呼ばれるドライバーの頭部保護装置も新たに導入されることになりそうだ。
見た目の悪さなどにより、一部にはそれを導入するとF1人気がさらに下がってしまうのではないかと懸念する声もある。この件について意見を求められたベルガーは、次のように答えた。
「安全対策に関してはやり過ぎということはない。昨年はドライバーが亡くなってしまったことも忘れるわけにはいかない」
そう述べたベルガーは、次のように続けた。
「安全に関してはもうこれで十分だということはない。だが、これ(ハロー)は過度に完ぺきを求めたものだと言えないだろうか? あまりにも過剰な規制だと言えないだろうか? 間違いなくそうだよ」
■レースの数より中身が重要
また、今年は過去最多の年間21レースが行われることになっている。このレース数は多過ぎると思うかと尋ねられたベルガーは、次のように答えている。
「かなり多いね。だけど、ひとつのグランプリにとってはほとんど違いなどない」
「レースがよりワクワクしたものでなくてはならないだけだ。それが最大の課題なんだ」とベルガーは付け加えた。