高速サーキットとして知られるスパ・フランコルシャン(ベルギーGP/9月2日決勝)とモンツァ(イタリアGP/9月9日決勝)で行われる2連戦を控え、競争力の高さを存分に発揮しているロータスへの注目度が一気に上昇中だ。
ロータスの技術責任者を務めるジェームス・アリソンは先日、チームがベルギーGPで「ダブルDRS(※)」と呼ばれるシステムを導入するつもりであると認めていた。
イギリスの放送局『Sky(スカイ)』の解説者テッド・クラビッツによると、ロータスはダブルDRSをこれまで金曜日のフリー走行でしか試せていないが、サーキット上で時速150マイル(時速約241km)を超えるところすべてで機能していた。
F1カレンダーの中でも超高速レースが展開される伝統的なスパ・フランコルシャンとモンツァの2連戦が、今週末から2週連続で行われる。
これについて、かつてトヨタのドライバーとして活躍し、現在は解説者を務めるアラン・マクニッシュは、次のように語った。
「彼ら(ロータス)によれば、ダブルDRSによって時速が4~5km程度上がるそうだ。これは非常に大きなアドバンテージになる」
ロータスは、ダブルDRSをただ単に「例の装置(ザ・ディバイス)」と呼んでいる。
アリソンは先週、「開発の成果に自信が持てれば、例の新しい装置をスパ・フランコルシャンで解禁することを目標に準備を進めてきた」と語っていた。
ロータスは今季いまだに勝利を手にしていないものの、チームで争うコンストラクター部門で3位につけている。ついにベルギーGPで実現するかもしれない「例の装置」のデビューが、レースを控えたチーム内の士気を高めている。
チームのレースドライバーのひとりであるロメ・グロジャンは、昨年のベルギーでGP2のタイトルを手にした。
グロジャンは、フランスの『RMC』にその時のことを聞かれ、「一瞬一瞬を覚えている」と語った。
「スパ・フランコルシャンを訪れたらあのときの感動がよみがえって、特別な気持ちになるかもしれない」
「F1での初勝利がスパになったら、最高だろうね。予選でもいい順位を狙わないといけない。ポールいっとく? 」と言っておどけてみせた。
グロジャンと同じくフランス出身の元F1ドライバー、パトリック・タンベイも、スパ・フランコルシャンとモンツァがロータスにとって「非常におもしろいレース」になるだろうと同調する。
「グロジャンはシーズンの中でもずば抜けた存在だし、キミ・ライコネン(ロータス)はフェラーリとのつながりが取りざたされている。この“おかしなシーズン”の視点からしても、おもしろい2週間になりそうだ」
一方、「他のチームが私たちのドライバーに興味を持つのも理解できる」と話すのは、ロータスのチーム代表兼マネジングディレクターを務めるエリック・ブーリエである。
「でも、正直言って、彼ら(他のチーム)は時間を無駄にしていると思うよ」と語り、2人のドライバーの残留に自信をのぞかせた。
※DRS(空気抵抗低減システム/可変リアウイング)とは、昨年からF1に導入されたシステムで、リアウイングの角度を変えることで一時的に最高速を上げる効果を持つものだ。フリー走行や予選では自由に使用できるが、決勝は指定された区間で、前車との間隔が1秒以内となったときだけ使用が認められている。メルセデスAMGではさらに、そのDRSを作動させることにより、リアウイングに設けられた空気取り入れ口が露出し、そこから導入された空気をフロントウイングに流すことでフロント側のダウンフォースを減らし、さらなる速度上昇を可能とするシステムを開発した。このシステムが「ダブルDRS」と呼ばれるものだ。ロータスのシステムはエンジンカバーに空気の取り入れ口があるとされている。