F1ブラジルGP決勝後に一騒動起こしてしまったマックス・フェルスタッペンだが、所属するレッドブルの首脳たちはあれ位の騒ぎだけで済んだのはラッキーだったと考えているようだ。
ブラジルGP決勝でトップを走行していたフェルスタッペンだが、すでに周回遅れとなっていたフォース・インディアのエステバン・オコンがリードラップに戻ろうとホームストレートでフェルスタッペンをオーバーテイクしようと試みた。
だが、その結果ターン2で両者がクラッシュ。スピンを喫してコースオフしたフェルスタッペンはそこでルイス・ハミルトン(メルセデス)に順位を奪われ、ほぼ手中に収めたかと思われた勝利を逃してしまった。
F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)のF1競技委員たちはこのクラッシュはオコンに非があったと判断レース中に10秒間のストップ・アンド・ゴー・ペナルティーを科した。
レース後にフェルスタッペンはオコンに詰め寄り少し言葉を交わしたが、オコンの反応がまた火に油を注いでしまったのか、フェルスタッペンがオコンの胸を突き飛ばしてしまうという光景が展開されてしまった。
これに関し、FIAフェルスタッペンに対するペナルティーとして「6ヶ月以内に2日間の社会奉仕活動」を行うよう命じている。
■あれで得をしたのはメルセデスだとレッドブル
だが、レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、あのクラッシュの背後にはエステバン・オコンを契約下に置くメルセデスの陰が見えると次のように語った。
「メルセデスと契約している遅いドライバーがレースリーダーをコース外にはじきだしておきながら10秒ペナルティーしか受けなかったというのはとんでもないことだ」
「2020年のシートを約束されている捨て身のメルセデスドライバーが我々の勝利を奪ったんだ」
「彼と個人的に話をしたいかって? 私はバカと話などしたくないよ。私がオコンに言いたいことは、ヨス(フェルスタッペン)がここにいなくて彼はラッキーだったということだけだ」
フェルスタッペンの父親であり、気が短いことで知られる元F1ドライバーのヨス・フェルスタッペンの名前を持ちだしたマルコは母国オーストリアのテレビ局『ORF』に対し、「(オコンは)F3時代からバカだった」と吐き捨てるように付け加えた。
■フェルスタッペンに慎重さが欠けたのだとフォース・インディアのボス
一方、オコンを契約下に置くメルセデスからPU供給を受けているフォース・インディアのオットマー・サフナウアー(チーム代表)は、フェルスタッペンの方がもっと慎重であるべきだったと主張し、次のように付け加えている。
「なぜハミルトンが5回もチャンピオンになれたんだと思う? それは彼が単に速いだけでなく、賢いからさ」
ハミルトンは今回のフェルスタッペンとオコンのクラッシュは「レーシング・インシデント」だったと考えているものの、フェルスタッペンの攻撃的なドライビングスタイルは「これからも時折痛い目に遭うことがあるだろう」とコメントしている。
■関与を否定するメルセデス陣営
メルセデスを率いるエグゼクティブディレクターのトト・ヴォルフは、オコンが今回のような無理な走りを行ったのは2020年のシート獲得に向けたキャンペーンのようなものだったとマルコが語ったことについて質問されると、自分は「そういうレベルの話をするつもりはない」と答えている。
また、サフナウアーも、マルコが発したコメントは根拠のない「陰謀説」に過ぎないと主張している。
■オコンは殴られてもおかしくなかったとホーナー
だが、レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、オコンがフェルスタッペンと顔を合わせたときに素直に謝っていればあんなことにはならなかったはずだと考えているようだ。
「マックスはすごく自分を抑えていたと思うよ」
ブラジルの『Globo(グローボ)』にそう語ったホーナーは、「あれが彼の勝利を奪ったんだ」と続け、オコンは顔にあざを作らずに済んでよかったと次のように付け加えた。
「これは彼らがカートをやっていた頃にまでさかのぼるんだ。だが、本当に正直に言って、もちろん暴力を正当化するわけにはいかないものの、エステバンが突き飛ばされただけで済んだのはラッキーだったよ」