トロロッソ・ホンダのテクニカルディレクターを務めるジェームス・キーがマクラーレンへ移籍することになったとイギリスの『BBC』が報じている。
■チーム再編を進めるマクラーレンがキーを獲得
マクラーレンでは成績不振の責任を取る形で4月にシャシー担当チーフテクニカルオフィサーのティム・ゴスが、そして7月にはレーシングディレクターを務めていたエリック・ブーリエが離脱。チームは新たにジル・ド・フェランをスポーティングディレクターに迎えるなどチーム人事の再編に取り組んでいた。
さらに、最近ではチーフエンジニアリングオフィサーを務めていたマット・モーリスもチームを離脱することになったと伝えられている。
そして、その穴を埋める形でキーのマクラーレン移籍が確定。キーはマクラーレンでもテクニカルディレクターのポジションに就くことになるようだ。
マクラーレンではこの報道内容について現時点では何もコメントを行っていないが、『BBC』によれば数日のうちに正式に発表されることになるだろうという。
■トロロッソ・ホンダには大きな打撃に
現在46歳のイギリス出身エンジニアであるキーは1998年にジョーダン・グランプリに加入。そこからF1エンジニアとしてのキャリアを築き始めた。その後ジョーダンは何度かオーナーが変わり、最終的には現在のフォース・インディアに引き継がれたものの、キーは一貫してチームにとどまり、テクニカルディレクターとして活躍。
2010年には長年勤めあげたシルバーストンに本拠を置くチームを離れ、スイスに拠点を置くザウバーに移籍。だが2012年シーズン開幕直前にザウバーを離脱したキーは、その年の9月にレッドブルのジュニアチームであるトロロッソに加入し、現在までテクニカルディレクターとしてチームの技術部門をリードしていた。
『BBC』は、すでにキーはトロロッソを辞したと報じているものの、実際にいつからマクラーレンでの職務を開始することになるのかは明らかではないとしている。
通常、F1チームの重要な技術ポジションに就いていた人材に関しては機密保持の観点から「ガーデニング休暇」と呼ばれる一定の空白期間を設けることが通例となっている。
『BBC』も、キーがいつ正式にマクラーレンに着任するかは、これまでキーを契約下に置いていたレッドブルとマクラーレンの話し合いによって決まることになるだろうと予想している。
今季からホンダPUを搭載しているトロロッソだが、F1でもトップレベルの力を持つエンジニアとして知られるキーの離脱は大きなダメージとなることが予想される。特に、2019年は空力レギュレーションの見直しが行われることになっており、キーの抜けた穴をどうやって埋めていくのかがトロロッソ・ホンダにとっての大きな課題となりそうだ。