「アンセーフ・リリース(安全性に欠けるピットアウト)」は、F1中国GPのパドックで流行語となっている。
F1開幕戦オーストラリアGPでは、ハースの2台ともホイールの締め付けが緩いままピットアウトしてリタイアした。
F1第2戦バーレーンGPでは、フェラーリのメカニックがタイヤに巻き込まれ骨折をするという事故が発生した。
そしてF1第3戦中国GPでは、フリー走行中にストフェル・バンドーン(マクラーレン・ルノー)を含むピットストップでもやはり同じようなタイヤの締め付けが緩いという事件が起こっている。
■マグヌッセン、最低5秒ルールは違う
FIA(国際自動車連盟)はこれらについて調査中だが、ハースのケビン・マグヌッセンは、最低5秒のピットストップタイムを必須事項とすべき時ではないとした。
「それは違う(課すべき時ではない)」
「最大限の努力をしていて限界に達した際は、少し戻す必要があるかもしれない」
「さらに速くタイヤ交換することは不可能な時代に近づいている。だけど、たぶん、より多くの秒数を稼ぐのを止めて、信頼性と安全性にもっと重点を置く時が来たんだ」
■ルノー、一定の限界に達したかもしれない
(ボブ・ベル:写真左から2人目)
ルノーの技術責任者ボブ・ベルによると、チームは過去数年間に渡ってピットストップをスピードアップする技術を改良してきたという。
「今年は何かが変わってきたんだ。それは進化論だけではないと思う」
「しかし、ピットストップ時間を徐々に短くしていくと、状況がより頻繁に制御不能になるような一定の限界に達するものだ」
F1当局が介入すべきかどうかを尋ねると、ベルはFIAとFOM(Formula One Management)がこの問題を検討すると認めた。
「一定の基準をより安全でより安価にと主張されるかもしれないが、FOMとFIAがそれを見ていることは間違いない」
■ハース、100%安全なんて面白くない
ハースのボス、ギュンター・シュタイナーは、介入は必要ないという意見に同意だ。
「もちろん、物事が危険にさらされた時には事実を見なければならないが、ルールを変更する必要はないと思う」
「もしすべてが100%安全なら、誰がF1を観るんだい?人間の要素やミスが起こるリスクが必要なんだ」
「すべてがロボットによって制御されれば、高速ピットストップはもはや問題にはならないだろうが、誰がそれを観るんだろうか?」
■ピットストップにミスはつきもの
前回、メカニックを巻き込んでしまったキミ・ライコネン(フェラーリ)はこういう見解だ。
「もちろん、ピットストップがなければもっと安全になるだろう」
「ピットストップをすればいつでも、何かがうまくいかないよ」。