2015年に2年連続でF1タイトルを独占したメルセデスAMGだが、ビジネス担当エグゼクティブディレクターを務めるトト・ヴォルフがシーズン後に疑問に感じていることがある。
それは、なぜルイス・ハミルトンのパフォーマンスが突然低下してしまったのかということだ。
第16戦アメリカGPですでにタイトル獲得を決めたという事実はあるものの、ハミルトンはそれ以降の3レースはすべてチームメートのニコ・ロズベルグにポール・トゥ・ウィンを許していた。
「(その理由は)少しは分かってきているが、完全には分かっていない。私は、最大の要因は心理的なものだろうと考えている」
そう語ったヴォルフは、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように続けた。
「ルイスはすでに目標を達成していた。タイトル獲得を決めたことで、少しばかり気が緩んでいたんだろう。恐らくはそれも無意識のうちにね。同時に、私としてはニコのパフォーマンスを軽視するつもりはないよ。あれは素晴らしかった」
「我々には来年も最大限の力でレースができる2人のドライバーがいるということだ。それが成功するためのカギなんだ。それが、少し我々の白髪が増える原因にもなっているがね」
実際のところ、ヴォルフは、日増しに険悪な雰囲気が強くなっていたハミルトンとロズベルグに対し、もしそのことがチーム精神を損なう原因となるようであれば、ドライバー体制の見直しをする可能性もあると警鐘を鳴らしていた。
だが、ヴォルフは、メルセデスAMGはハミルトンとロズベルグというドライバーラインアップには今も満足していると次のように語った。
「もし、ハミルトンが2人いたら、恐らくチームは爆発してしまうだろう」
ほほ笑みながらそう語ったヴォルフは、「だが、ニコが2人いたとしても簡単ではないだろうね」と付け加え、次のように続けた。
「この2人のコンビネーションはかなりいいんだ。理想的な状態だと言えるよ。時には困らされることもあるけれどね」
「だが、彼らの取り組み方が非常に異なっているからこそ、チームがさらに強くなることに役だっているのさ」とヴォルフは締めくくった。