アルファタウリの今季残り2レースに向けた目標は、コンストラクターズ選手権でウィリアムズを追い抜いて7位となることだ。
●【2023年F1チャンピオンシップ・ランキング】第21戦F1サンパウロGP終了後
今季のF1第19戦アメリカGPを終えた時点まではコンストラクターズランキング最下位に沈んでいたアルファタウリだが、続く第20戦メキシコシティGPと第21戦サンパウロGPでハースとアルファロメオを逆転し、一気にランキング8番手に浮上。そして、現在7番手に位置しているウィリアムズとの差は7ポイントに縮まっている。
残りは2レースのみとは言え、十分に逆転が狙える位置にきているのは確かだ。
■追い抜かれる可能性はあるとウィリアムズのボス
ウィリアムズのチーム代表を務めるジェームズ・ヴォウルスも、そのリスクはあると認めている。
「今年のマシンの開発はもう何カ月も前に止めているんだ」
昨年までメルセデスの戦略責任者を務めていた44歳のヴォウルスはそう語ると、次のように付け加えた。
「それによって我々の7位が危なくなっているのかもしれない。だが、それでも、我々が下した決断はとてもよかったと思っているよ」
■シーズン終盤も改良パーツ投入を続けるアルファタウリ
実際のところ、2023年シーズン序盤から中盤にかけてのアルファタウリF1マシンはグリッドに並ぶマシンの中で一番遅いものだったのは確かだ。しかし、第16戦シンガポールGPで投入した改良マシンがその後レースごとにパフォーマンスを上げ、アメリカGPからは3戦連続でポイント獲得に成功している。
「シンガポールのアップグレードがスタートだったんだ」
アルファタウリの新CEOであるピーター・バイヤーは、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』にそう語ると次のように付け加えた。
「それ以来、我々はパッケージを最適化するためにさらなるパーツを投入してきているよ」
■アルファタウリ躍進の影にレッドブルあり?
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌は、このアルファタウリの躍進は「兄貴分のレッドブルが手を貸した」のだろうと推測し、次のように付け加えている。
「遅くとも来シーズンまでには、彼らはレギュレーションで認められている相乗効果をすべて利用したいと考えている」
■リカルドの加入も大きなプラスに
しかし、アルファタウリが大きく改善してきたもうひとつの大きな理由は、第11戦イギリスGPまで角田裕毅のチームメートを務めていたニック・デ・フリースよりも、第12戦ハンガリーGPからチームに加わったダニエル・リカルドの方がはるかにマシンをセットアップする能力が高かったことにあると考えられている。
「ダニエルが非常に大きく関わり、エンジニアたちを助けたんだ」
そう認めたバイヤーは次のように続けた。
「それ以来、ドライバーたちはミーティングにおいてもマシンへの大きな満足感を示しているよ」
「我々はタイヤをうまく扱えているし、もはやストレートで最も遅いマシンではなくなっているよ。トップスピードに関しては、我々は今では中団に位置している」
■チーム全体に活気が生まれている
「いい結果がチームに元気を与えたよ。状況が好転していることは誰にでもわかることだ。アップグレードが功を奏しており、ドライバーたちはもっと自信が持てるようになりつつある。彼らが攻めているのがわかるんだ」
2022年5月までF1統括団体のFIA(国際自動車連盟)でF1エグゼクティブディレクターを務めていたバイヤーはそう語ると、次のように付け加えた。
「そして、リスクが報われてうまくいけば、それがファクトリーの全員に影響を及ぼすんだ」