4回F1チャンピオンとなった記録を持つアラン・プロストが、今季のF1最終戦が開催されるアブダビに行き、そこでマックス・フェルスタッペンを祝福するつもりだと語った。
■再びシーズン最多勝利記録を塗り替えたフェルスタッペン
先週末にエルマノス・ロドリゲス・サーキットで開催された今季のF1第20戦メキシコシティGPでも現F1チャンピオンであるオランダ人ドライバーのフェルスタッペンが勝利を収めた。
フェルスタッペンは今季の勝利数を16に伸ばし、昨年自身が打ち立てた1シーズンの最多勝利記録をさらに塗り替えている。
また、全22戦で行われる2023年シーズンに16勝をあげたことで、この時点においてフェルスタッペンの年間勝率は、全18戦で行われた2004年に13勝をあげたミハエル・シューマッハが記録した72.22パーセントを上回る72.73パーセントに到達している。
仮にフェルスタッペンが残りの3レースも全て勝利すれば、22戦中19戦で勝つことになり、年間勝率は86.3パーセントという途方もない数字になる可能性もある。
どこまで勝利数を増やせると思うかと尋ねられた26歳のフェルスタッペンは、微笑みを浮かべながら次のように答えている。
「17勝? 19勝? わからないよ」
レッドブル首脳のヘルムート・マルコは、フェルスタッペンが年間勝利数記録をさらに伸ばす可能性は十分にあると考えている。
「今年の初めには、こんなことが可能だとは考えてもいなかっただろう」
ドイツの『Bild(ビルト)』紙にそう語った80歳のマルコは、次のように付け加えた。
「しかし、まだ3レース残っているし、狙えるだろう?」
■通算勝利数もF1歴代トップ5入り
さらに、フェルスタッペンはメキシコでの勝利で、プロストに並ぶF1通算51勝という記録も達成している。
1993年に通算4回目となるドライバーズタイトルを獲得した時点でF1を引退した現在68歳のプロストは、母国フランスの『L’Equipe(レキップ)』に次のように語った。
「この勝利数記録を持っているのは5人だけだ」
「F1の歴史全体で5人なんだ。私は恥じることなく、この殿堂の一員であることに誇りを持っていると言うことができるよ」
フェルスタッペンがもしも残りの3レースも勝利すれば、通算勝利数は54勝となり、プロストの記録はもちろん、セバスチャン・ベッテルが持つ53勝の記録さえ一気に抜き去る可能性もある。
■アブダビでフェルスタッペンを祝福したいとプロスト
プロストは、そのフェルスタッペンに会うために、シーズン最終戦(11月26日決勝)が行われるアブダビに行くつもりだという。
「アブダビに行くつもりだし、もちろんそこで彼を祝福するつもりだ」
かつてマクラーレン、ルノー、フェラーリ、ウィリアムズで戦い、特にマクラーレン・ホンダではチームメートのアイルトン・セナと熾烈な戦いを繰り広げたことで知られるプロストはそう語ると、次のように続けた。
「私は彼に、彼が非常に特別なクラブの一員になったこと、そしてそれ自体が功績であることを伝えるつもりだよ」
「また、彼は私がその決意と才能を尊敬するドライバーであることも伝えるつもりだ。そして最後に、彼のようなアスリートに負けたとしても、私は嫉妬したり悲しんだりすることはないとね」
■シューマッハとハミルトンの記録も視野に
2021年から3年連続でF1チャンピオンとなったフェルスタッペンだが、2025年までは技術レギュレーションがほとんど変わらないこともあり、2024年には4年連続チャンピオンとなってプロストとベッテルの記録に並び、2025年には5年連続チャンピオンとなってその記録を追い抜く可能性もありそうだ。
いずれにせよ、フェルスタッペンがプロストとベッテルの持つ記録を追い抜くのはもはや時間の問題だろう。
そうなった場合、次のフェルスタッペンの目標はミハエル・シューマッハとルイス・ハミルトン(メルセデス)が持つ通算7回のドライバーズタイトル獲得であり、シューマッハの通算91勝と、ハミルトンの103勝(現時点)という通算勝利記録を塗り替えることになりそうだ。
「マックスはまだ進化の途上にあるし、それはまさに素晴らしいことだよ」
そう語ったプロストは、次のように付け加えた。
「私の物語は終わった。だが、それは美しいものだった。そして今のマックスの物語も同じように美しいよ。それはそれでね」