レッドブルのアドバイザーを務めるヘルムート・マルコが、レッドブル首脳陣の間で権力闘争が起きているとの噂を否定するとともに、チーム代表のクリスチャン・ホーナーには自分を追い出す権限はないと主張した。
■この噂がどこから出たのか「わからない」とマルコ
レッドブルがF1で圧倒的な強さを見せる中、今週になってホーナーがマルコを追い出そうとしているのではないかとの噂が強くささやかれるようになっている。
マルコは、17日(火)に母国オーストリアのグラーツで“批判的思考に対するゲルハルト・ヒルシュマン賞”を受賞したが、その際、『Osterreich(エステルライヒ)』紙から今週末にテキサス州オースティンで行われるF1第19戦アメリカGP(22日決勝)を前にした心境を尋ねられると次のように答えた。
「いい感じだよ。多くの思い込みがあるにもかかわらずね。私は災難を予言する者たちを失望させなければならないよ」
■いつやめるかは自分が決めること
マルコは、ホーナーとの権力闘争の噂がどこから出てきたのか「まったくわからない」と主張するとともに、今週末に行われるレッドブル本社の取締役会において彼のF1での役割について議論されることになっていると伝えられていることに関しても否定している。
「今週、首脳会議はないよ」
そう主張した80歳のマルコは、次のように続けた。
「私には来年末までの契約がある。いつ、どのようにやめるか、いつ終わりにするかは私が決めることになる。例えば、ホーナー氏が決めることではないんだ」
■レッドブルの状況が違ってきているのは確か
今週ささやかれている噂では、世界的エナジー飲料メーカーであるレッドブルの新CEOであるオリバー・ミンツラフとマルコの関係がうまくいっておらず、ミンツラフがホーナー側につくかもしれないとも言われている。
マルコは、2022年10月にレッドブルの共同設立者で最高経営責任者であったディートリッヒ・マテシッツが亡くなったことでレッドブル内部に変化が起こっているのは事実だと認めている。
「新たな状況によって、今ではすべてが違っている」
マルコはそう語ると、次のように付け加えた。
「人々は自分たちの権威の見直しを迫ろうとしているんだ」
■ペレスや角田の噂は憶測にすぎない
マルコはまた、ホーナーとの不和が噂される中で、ホンダとつながりのある角田裕毅を2024年もアルファタウリにとどめるべきではなかったのではないかとの声があることに対しても次のように主張している。
「これはすべて憶測にすぎないよ。ペレスに関することのようにね。ペレスには最後通牒などないんだ」
「私が思うに、我々があまりにも勝ちすぎているんだ。だから、こうした信じられないようなことが世界中に伝えられているんだ」
■フェルスタッペンとの関係は「心強い」
マルコ、ミンツラフ、ホーナーの間の緊張がここ数日で和らいできたようだとの報道もあるが、それはマックス・フェルスタッペンが、もしもマルコが追放されれば自分もマルコの後を追うだろうと警告したためだと考えている者もいるようだ。
フェルスタッペンの支持を得ているようだと伝えられていることについて質問されたマルコは、次のように答えた。
「一方では、それはとても心強く感じるよ。まだ忠誠心と感謝のようなものがあるんだ」
「マックスが15歳のときに初めて話をして以来、我々の間には特別なつながりがあるんだ。今はオースティンを楽しみにしているし、日曜日に彼のグランプリ50勝目を祝えることを願っているよ」
■今は自分たちの仕事に集中するべき
一方、ドイツのテレビ局『Sport1(シュポルト1)』からも噂について質問されたマルコは、次のように答えている。
「今は、我々全員が落ち着いて、自分たちの本業について考えるべきだ。これはスポーツであり、政治ではないんだ」
「我々はまだセルジオ・ペレスと共に(ドライバーズランキング)2位を獲得したいと思っている。それは彼次第だ。彼は私たちからそのためのマシンを得ているのだからね」
そう語ったマルコは、次のように付け加えている。
「私に関しては、最近多くのサポートを受けたことは間違いないし、それには非常に満足できたよ」