元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、フェラーリのシャルル・ルクレールはF1キャリアにおける岐路に立っていると考えている。
それは、ルクレールのチームメートであるカルロス・サインツが最近ではより印象的なドライバーとして浮上してきているためだ。
■フェラーリでのルクレールとサインツの立場が逆転?
実際のところ、サインツは今季のF1第16戦シンガポールGPでポール・トゥ・ウィンを飾り、ここまでのところレッドブル以外のドライバーとして唯一表彰台の中央に立つ活躍を見せており、ドライバーズランキングでもランキング6番手のルクレールを15ポイント上回って5番手につけている。
これまではルクレールがフェラーリの事実上のナンバー1ドライバーだと言われていた。だが、今やサインツがその座を奪おうとしていると考えている者もいるようだ。
■フェラーリのナンバー1はフェラーリだけだとサインツ
しかし、29歳のサインツは、ルクレールとフェラーリのナンバー1ドライバーを争っているわけではないと否定している。
「僕たちの契約やドライビングにおいて、ナンバー1なのはフェラーリだけだということはすごくはっきりしているよ」
今週初めに母国スペインのマドリードで行われたイベントでそう語ったサインツは、次のように続けた。
「自分が前に出るレースもあれば、後ろに回るレースもある。チームメートやフェラーリを助けなければならないレースもあれば、自分自身を助けなければならないレースもあるんだ」
「シャルルと僕はそれにすごく慣れているし、うまくコントロールする方法も知っている。だけど、フェラーリを愛する者は、そういうナンバー1の話を促すべきではないよ。なぜなら、まず、それは真実ではないし、次に、それは何の役にも立たないからね」
■現時点ではサインツの方がまとまっているとラルフ・シューマッハ
だが、7度F1王座に就いたミハエル・シューマッハを兄に持つラルフ・シューマッハは、間違いなくルクレールには心配すべきことがあると考えている。
「ルクレールは今、岐路に立っているよ」
『formel1.de』にそう語った48歳のラルフ・シューマッハは、次のように続けている。
「彼は自分自身を客観的に見る必要がある。なぜなら、とても速く、状況をいい方向に変えようとする大きな才能を持ちながら、ミスばかりしているのでは意味がないからね」
「サインツはもっとバランスが取れている。ルクレールほど才能がないのは確かだと思うが、彼はもっと融通が利くし、現時点ではそれがよりよいパッケージになっているよ」
■常に接戦を展開する2人がフェラーリの財産だとサインツ
しかし、サインツはルクレールと自分はほぼ互角だと主張している。
「この世代のマシンは運転が難しいんだ。だから、多くのグランプリでチームメート同士にはコンマ2秒、3秒、あるいは0.5秒の差がついている」
サインツはそう語ると、次のように付け加えた。
「でも、フェラーリではそんなことは起こらないよ。僕たちはお互いに常に接戦を繰り広げているし、フェラーリにとってはそれが非常に重要な財産なんだ。僕たちはお互いにすごくプッシュし合っているんだ」
■みんながサインツになりたがっているとスペイン人元ドライバー
しかし、元レーシングドライバーであり、現在は評論家として活躍しているスペイン出身のロルダン・ロドリゲスは、シューマッハの意見に同意しているようだ。
「今では99.9パーセントのドライバーがカルロス・サインツになりたいと思っているよ。これまでのレース全てで圧倒してきたドライバーであるシャルル・ルクレールに辛い時期を与えているフェラーリのドライバーにね」
『DAZN(ダゾーン)』にそう語った38歳のロドリゲスは、次のように付け加えた。
「それに加えて、彼はまだ進歩し続けている。だから、全てカルロスの思い通りになっているよ」
■今後も注目が集まるルクレールとサインツの戦い
しかし、シンガポールGPで今季初めてレッドブルを破ったことで大きな注目を集めたのは確かだが、それ以外のレースではサインツが言うようにルクレールとの差はそれほど開いていないのも事実だ。
予選ではここまでの16レースのうち9レースでルクレールがサインツを上回っており、表彰台もサインツの2回に対してルクレールは3回上がっている。
ただ、直近の第14戦オランダGP、第15戦イタリアGP、そしてシンガポールGPではサインツの方に勢いがあったのは確かであり、残りの6レースでのサインツとルクレールの争いに大きな注目が集まるのは間違いないだろう。