2005年と2006年のF1チャンピオンであるフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)が、2022年に導入されたF1技術レギュレーションには問題があると示唆した。
■2022年導入の新ルールでオーバーテイクが増えたF1
2022年にはそれまでとは大きく異なる技術レギュレーションが導入され、F1マシンはシャシーそのものがダウンフォースを生み出す「グラウンドエフェクト効果」を持つものに変わっている。
2021年以前のF1マシンにはダウンフォースを得るために複雑な構造のウイング類が装着されていたことから大きな乱気流が発生。それにより、後ろを走るマシンが大きな影響を受け、コース上でオーバーテイクすることが非常に難しくなっていた。
その欠点を解消するために2022年に新たなレギュレーションが導入されたわけだが、実際のところ、前を走るマシンについていくことは以前よりもかなり簡単になっており、オーバーテイクも増えている。
■レッドブルが強すぎるのは「何かがおかしい」とアロンソ
しかし、現在レッドブルのマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスに次ぐドライバーズランキング3番手に位置している42歳のアロンソは、そのレギュレーションにはマイナス点もあると示唆している。
「何かが間違っているよ。なぜなら、過去25戦のうち24戦でレッドブルが勝っているんだからね」
「あの人たちが何を食べたり飲んだりしているのか、僕にはわからないよ」
先週、母国スペインのラジオ局『Cadena SER(カデナSER)』に笑いながらそう語ったアロンソは、次のように付け加えている。
「なぜなら、彼らは全てにおいてベストなんだ。今のところ、彼らには弱点がないし、全てのチームが弱点を見つけようと懸命に取り組んでいるよ」
■2025年までは今の力関係に変化なし?
2022年にはメルセデスやフェラーリを始め多くのチームが高速走行時にマシンが上下に振動するポーポイズ現象の問題を抱えてしまったが、唯一レッドブルだけはその問題をクリアし、ライバルたちに大きな差をつけることに成功していた。
そして、今年はほとんどのチームがポーポイズ現象の克服には成功したものの、レッドブルとの差は縮まるどころかさらに大きく開いてしまっている。
現在の技術レギュレーションは2025年までは基本的には変わらないことになっているため、少なくともあと2年間はレッドブルが圧倒的に強いという状況に変化はないだろうと言われている。
メルセデスなどは、こうした状況を改善するためにレギュレーションの修正を行うべきだと主張している。だが、その一方でF1最高責任者(CEO)のステファノ・ドメニカリはそうした介入をするつもりはないとしている。
今後この問題がどのように進展するのかにも関心が持たれるところだ。