フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)が、2023年F1シーズン中に10年ぶりとなるキャリア通算33勝目を達成する可能性はないと認めた。
■アップデートの“副作用”に苦しむアストンマーティン
今季は第9戦カナダGPまでの8レース中6レースで表彰台に上るという好調ぶりを示していたアロンソだが、アストンマーティンの競争力がそれ以降は下降線をたどっており、直近の4レースでは一度も表彰台に上ることができていない。
こうした中、2022年からアストンマーティンのチーム代表を務めているマイク・クラックは、現在の状況はマシンに施した最近の一連のアップグレードが失敗だったのだと認めている。
「我々は常に開発を推し進めているんだ」
『DAZN(ダゾーン)』にそう語ったクラックは、次のように続けた。
「しかし、このマシンは非常に複雑で、どのような変更を行っても、それがほかの部分に影響を及ぼして、副作用が発生してしまうんだ」
「我々はシーズン序盤にある変更を行ったが、それによる副作用が出るとは考えていなかったんだ」
「異なるタイプのサーキットで数レースをやってから、それがマシンにどのような影響を及ぼしていたのかに気づいたんだ」
■不可能でも挑戦を続けるアロンソ
今シーズン序盤にはアロンソが通算33回目の優勝を手にする可能性も高いと報じるメディアも多かったが、7月末に42歳になったばかりのアロンソもその可能性が急激にしぼんでしまったことを認めている。
「モナコでは非常に近づいていたし、カナダでもそうだった。だけど、僕はもっとチャンスはあると思っているよ。現実的にはレッドブルの方がはるかにリードしているという事実があるにもかかわらずね」
「僕たちは毎週それに挑戦していくつもりだよ。たとえ、それが不可能なことでもね。僕が人生で行うことは全て、勝つためだと思っているからね」
「もしも僕がテニスやサッカーをするとして、相手が自分よりうまいとか、僕に勝ちそうだと思ったら、僕はやらないよ。それはモータースポーツでも同じだよ。だけど、僕はこのチームを信じているんだ」
「優勝するのにどれくらい時間がかかるのかはわからない。でも、将来的には僕たちにはそれができると思っているんだ」
■今年本当にチャンスがあるとは思わないとアロンソ
そう語ったアロンソだが、現実的には2023年に優勝する可能性はなくなってきていると考えているようだ。
「今年も本当にそのチャンスがあるとは思っていないよ」
「でも、その可能性があるレースは常にあるものだよ」
ルクセンブルク出身の51歳となるクラックも次のように語っている。
「彼の33勝目を予言するつもりはない。しかし、我々はそれを実現するためにできることは全てやるという強い決意を抱いているよ」
■ストロールにはツキがないとチーム代表
一方、クラックは、アロンソのチームメートであるランス・ストロールがアストンマーティンの進歩のブレーキになっているとの見方を否定している。実際のところ、今季前半を終えた時点でアロンソが149ポイントを稼いだのに対し、ストロールは47ポイントしか獲得できていない。
「ランスは今年あまり運に恵まれていないんだ」
「(シーズン開始直前の)骨折を除けば、全く彼のせいではないのにうまくいかないこともいくつかあったよ」
チームオーナーの息子である24歳のカナダ人ドライバーについてそう語ったクラックは、次のように付け加えた。
「つまり、ドライバーズ選手権がひとつの物語を語る一方で、チーム内では実際に何が起きているのかわかっているんだ」