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苦戦するアルピーヌF1の課題を元F1エンジニアやドライバーが指摘

2023年08月04日(金)19:29 pm

2022年はF1コンストラクターズ選手権をトップ3チームに次ぐ4位で終えたアルピーヌだが、今季は現時点では6番手と苦戦している。そればかりか、ランキング5番手のマクラーレンには46ポイントも差をつけられており、シーズン後半でこれを逆転するのはかなり厳しい状況にあると言っていいだろう。

■ライバルに後れをとるルノーF1エンジン

フランスのヴィリー・シャティヨンにあるルノーのエンジンファクトリーでかつてF1エンジン製造に携わっていたドゥニ・シュブリエによると、現在アルピーヌが搭載しているルノーF1エンジンに関しては、ライバルメーカーに比べて不利な条件があるのは確かだという。

「ヴィリーから少しだけ聞こえてくることによれば、彼らはエンジンに関して大きな進歩を遂げたと考えているようだ。性能面と信頼性の両面でね」

「どうやらまともなパワーユニットのようだ。問題は、それがこの(アルピーヌの)2台にしか搭載されていないことだ。だから、ライバルたちに比べて学ぶことが少ないし、そのスピードも遅くなってしまうんだ」

「それが難点のひとつだよ」

現在、ルノーF1エンジンはライバルメーカー(ホンダ、メルセデス、フェラーリ)に対して約30馬力劣っていると伝えられている。現在はF1エンジンのパフォーマンス改善開発が凍結されているが、ルノーはライバルたちとの差を縮めるために自分たちだけ燃料流量制限を緩和するという特例措置を求めているようだ。だが、それに対するライバルたちの反応はかなり冷ややかだと伝えられている。

■シャシーもパフォーマンス不足

一方、シュブリエは、エンジンだけでなくイギリスのエンストンにファクトリーを構えるシャシー・チームにも責任があるとしている。

2007年末にルノーを去り、その後はF1活動から身を引いた69歳のフランス人エンジニアは次のように語った。

「シャシーの観点から見ると、このマシンはライバルたちに比べてパフォーマンスが不足しているよ」

「マシンの構造的なパフォーマンスが不足しているんだ。全体が小さな差で非常に接近していることを認識しなければならない。だが、マシンは本来改善されるべき改善を見せていないよ」

「ほかのチームはなんとか改善しているよ」

フランス出身の元F1ドライバーであるオリビエ・パニスもアルピーヌF1マシンについて次のように語っている。

「悪いマシンではないよ。だが、定期的に見れば十分ではないし、セットアップも難しそうだね」

「不可欠な空力が十分ではないんだ。彼らは少し行き詰まっているんだと思うよ」

■優秀な人材も不足?

1979年から1982年までルノーのドライバーを務めたフランス出身元F1ドライバーのルネ・アルヌーは、F1マシンがどれだけ優れたものになるかは、「人材」にかかっていると言う。

「どの分野においても、絶対的な価値を持つエンジニアが5、6人は絶対に必要だ。そうした者たちがいなければ、この結果しか手にできないよ。

「マシンの背後には、すべてを機能させるために超が付くほど優秀な人材が必要なんだ。なぜなら、F1選手権はいまやエンジニアリングと戦略の選手権になっているからだ」

とは言え、最近ではチーフテクニカルオフィサーを務めていたパット・フライがウィリアムズ移籍のために抜けたのに加え、チーム代表だったオットマー・サフナウアー、スポーティングディレクターを務めていたアラン・パーメインが更迭されるなど、お家騒動とも言えそうな状況となっているアルピーヌだけに、チーム全体が一丸となって戦えるようになるまでにはまだ時間がかかりそうな気配だ。

■ドライバーの自信はいいマシンから生まれる

シュブリエは、ドライバーに自信を持たせるためにもマシンのパフォーマンスを改善することが重要なのだと主張している。

「奮い立たせてくれないマシンでどうすれば自信が持てるんだい?」

シュブリエはそう語ると、次のように付け加えた。

「マシンが効率的でなかったり、セットアップが難しかったり、一貫性がなかったりしたら、ドライバーにとって最悪だ。最低だよ」

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