『モナコ自動車クラブ』のミシェル・ボエリ会長が、F1モナコGPが開催されるのは2025年が最後となる可能性があると示唆した。
■開催継続の危機にあるF1モナコGP
今週末に開催されるF1モナコGP(28日決勝)は、世界3大自動車レースのひとつにも数えられるF1を代表する伝統レースだ。
しかし、近年F1オーナーのリバティ・メディアはヨーロッパ以外の地域で新たなグランプリを開催する方向で動いており、かつてF1の本拠地であったヨーロッパでのレースは減少傾向をたどっている。
そして、伝えられるところによれば、モナコがF1に支払う開催料はほかのグランプリに比べると格安になっていると言われており、ビジネスの観点からすればF1にとってモナコGPの持つ意味はかつてよりも小さくなってきていると考えられている。実際、昨シーズン前半の時点では、モナコが2023年のF1カレンダーから抜け落ちる可能性もあると示唆されていた。
こうした中、2022年9月になんとか2025年まで開催契約が延長されたものの、1972年からF1モナコGPの地元プロモーターである『モナコ自動車クラブ』の会長を務めているボエリは、2026年以降の開催継続に関しては不透明だとフランスの『L’Equipe(レキップ)』に次のように語っている。
「もし、中東の国が我々の10倍以上の金を用意したなら、そのときはもう我々は終わりだ」
「我々はモータースポーツの揺りかごのひとつだったかもしれないが、そうでなくなってしまうだろう」
■今のF1は“金”がすべてだとボエリ
元F1最高責任者のバーニー・エクレストンの友人でもあるボエリは、F1の現オーナーであるリバティ・メディアの舵取りには感心していないようだ。
「アメリカ人たちにとって重要なのは、オファーだけだ」
そう語ったボエリは、かつての交渉においてはニュアンスや敬意が重要であったのに対し、「今日は“ブリンクス(Brinks)”を相手にしているようなもの」だとしている。
ボエリが口にした“ブリンクス”とはアメリカの装甲現金輸送車のことであり、資本主義を象徴するものだと考えられている。
実際のところ、アメリカのリバティ・メディアは、積極的にアメリカ国内でのレース増加にも力を入れてきており、今年は、すでに今月初旬に行われたマイアミGPに加え、オースティンでのアメリカGP(10月22日決勝)、そして初開催となるラスベガスGP(11月18日決勝)と、3レースが行われることになっている。
ボエリは、10年間に及ぶ開催契約が結ばれているとも伝えられているマイアミでの今年のレースに言及しながら、次のように語っている。
「マイアミは、みんなが言っているような圧倒的大成功ではなかったよ」