レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、最近ルイス・ハミルトン(メルセデス)がフェラーリに移籍する可能性があるという噂がささやかれるようになっているが、その背後にあるのは「金」の問題かもしれないと考えているようだ。
最近、7度F1チャンピオンに輝いた実績を持つハミルトンとフェラーリ会長のジョン・エルカーンが接触しているようだとの噂が多くのメディアに取り上げられている。そして、その噂によれば、フェラーリは巨額の報酬をハミルトンに提示することになるだろうという。
さらに、今回の噂では、そのハミルトンと入れ替わりにシャルル・ルクレールがメルセデスに交換トレードのような形で移るのではないかと言われている。
■この噂に信憑性はないとラルフ・シューマッハ
しかし、元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、母国ドイツの『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』に次のように語っている。
「私は、それは単なる噂に過ぎないと思っているよ」
「ハミルトンは今いる場所(メルセデス)にとても満足している」
「そして、フェラーリには、現時点ではより大きな疑問符がついているんだ」
シューマッハによれば、最近シュトゥットガルトで行われたメルセデスのインターネットイベントにおいて、38歳のハミルトンが「自分のキャリアを彼ら(メルセデス)と共に終えたい」と語ったことを耳にしたという。
■勝ちたいハミルトンがフェラーリに行く理由はない
シューマッハはさらに、メルセデスのチームCEO兼代表であるトト・ヴォルフがハミルトンをフェラーリの不満分子とされるルクレールと交換することに乗り気だとは思えないと次のように続けている。
「正直なところ、シャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンのミスの割合や純粋なドライビングパフォーマンスを見れば、現時点ではハミルトンの方がより安定したドライバーであることは疑いようがないよ」
「私は、彼(ハミルトン)のモチベーションは、ひとつには金銭的なものだろうが、もう一方では成功を求める気持ちなんだと思っている」
「現時点ではマシンがうまく機能していないとしても、それでもメルセデスはフェラーリに勝っていることが多い。だから、フェラーリは代替手段としては意味をなさないと私は思うよ」
■フェラーリ移籍でハミルトンが得られるものは?
だが、80歳となったオーストリア出身のマルコは、ハミルトンにはフェラーリに移籍することで得られるものもあると示唆している。
「ハミルトンが本当に苛立っていることは2つあるんだ」
『f1-insider.com』にそう語ったマルコは、次のように続けた。
「まず、自分がもはやF1チャンピオンではなくなり、今後再びF1チャンピオンになるのは難しいとわかることだ」
「彼はレッドブルには自分の居場所がないことを知っている。そして、フェラーリが彼にとって絶対にスポーツ面でより良いものになるとは言い切れない」
そう語ったマルコは、再びF1チャンピオンになることが難しいハミルトンにとって、もうひとつの問題を解決するチャンスはフェラーリ移籍にあるかもしれないと示唆している。
「ルイスは、自分がF1で最も稼ぐドライバーではなくなったことを決して喜んではいないよ。今では、それはマックス・フェルスタッペンなんだ」
そう語ったマルコは、次のように付け加えている。
「少なくとも、フェラーリの助けを借りれば、彼はそれを変えることができるかもしれないよ」。