2026年にアストンマーティン・ホンダが誕生することが明らかとなったばかりだが、すでにそのチームで走ることになるドライバーについてもいくつかの推測がささやかれ始めている。
■アロンソは2026年も現役継続?
現在、メルセデスエンジンを搭載しているアストンマーティンのドライバーを務めているのは、ランス・ストロールと、2005年と2006年のF1チャンピオンであるフェルナンド・アロンソだ。
ストロールはチームオーナー(ローレンス・ストロール)の息子であり、まだ24歳という年齢を考えれば、2026年以降もアストンマーティンで走ることになるのは間違いないだろう。
一方、スペイン出身ドライバーのアロンソは、今年はこれまでの5レースで4回3位表彰台に上る活躍を見せるなど、あと2か月ほどで42歳になるとは思えない速さとうまさを示している。
現在のアストンマーティンとの契約は2024年までとなっているアロンソだが、シーズン中に45歳の誕生日を迎えることになる2026年にまだ現役ドライバーとして続けていてもそれほど不思議ではないかもしれない。
■アロンソが競争力を維持できれば可能性はあるとアストンマーティンCEO
ただ、アロンソはマクラーレン・ホンダ時代にホンダとの関係が悪化したことが知られており、それが大きなネックとなるのではないかと考えている者もいるようだ。
しかし、アストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーズのCEOを務めるマーティン・ウィットマーシュは、24日(水)に行われたホンダの記者会見においてアロンソが2026年以降アストンマーティン・ホンダで走る可能性を否定しなかった。
「もちろん、当時彼があのような状況の中で口にしたことは、私たち全員が覚えています」
かつてマクラーレンのチーム代表を務めていたウィットマーシュは、微笑みを浮かべながらそう語ると次のように続けた。
「しかし、フェルナンドは知的な人間です。そして、彼もホンダが2021年と2022年に行ったこと、そしておそらく2023年にも再び行うであろうことを知っており、尊敬しています」
「ホンダは我々にとって非常に素晴らしいパートナーです。フェルナンドはそれを見ています。おそらく現時点では2026年は彼の計画の範囲外です。我々は彼にコンスタントにレースで勝てるマシンを提供しなければなりません」
「我々は合理的な前進を遂げました。まだ到達すべきところには達していませんが、これからもっと強くなっていくでしょう。フェルナンドの未来がどこにあるのか、2026年までにはきっと話し合いが行われるでしょう」
「そして彼が今と同じように健康で、競争力があれば最高です。そうならば、2026年も彼をクルマに乗せることができれば素晴らしいことです」。
■アロンソとホンダとの確執は“過去の話”
また、ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長も、アロンソとの間に起こったことはすでに過去のことだと主張している。
「非常に苦しい時期を一緒に過ごしましたが、我々も努力してパワーユニットとして世界タイトルを獲ることができました」
「アロンソ選手は非常にレベルの高い天才的な選手だと思っていますし、我々もリスペクトをしています」
そう語った渡辺社長は、次のように付け加えた。
「チーム運営にまったく関わらないということではないですが、今までのスタンス通り、最終決定権はチーム側が持つことになりますし、一緒にインプットさせていただきながら一緒にチーム運営をできればと思っております。
「ドライバーについては我々もレーシングスクールも持っていますし、どんどんチャレンジしてそこの候補になってもらえたら嬉しいなと思っています」
■今後のさらなる活躍が期待される角田裕毅
しかし、ホンダや、日本のF1ファンにとってさらに魅力的なのは、現在レッドブルのセカンドチームであるアルファタウリで3年目のF1シーズンを戦っている日本人ドライバーの角田裕毅だろう。
昨年までの角田は、速さを示す一方で、感情的になりやすく、ミスも少なくはなかった。しかし、今年は非力なアルファタウリF1マシンで落ち着いた戦いぶりを示すまでに成長してきている。
渡辺社長も「2026年はまだ3年先ですし、今はまだ何かを言えるタイミングではありません」としつつも、その時にホンダの育成ドライバーであった角田が候補に入っていれば嬉しいと思うと付け加えている。
実際のところ、渡辺社長が言うように、2026年までは今シーズンも含めるとあと3シーズンあるわけだ。現在23歳の角田にとっては、まずは2023年シーズンに自分の存在価値をレッドブルとF1界に明確に示し、2024年以降のシートを確実なものとすることが必要なのは間違いないだろう。
日本のファンからしてみれば、2026年に向けて、レッドブルとアストンマーティンが角田の獲得合戦を繰り広げるような状況となって欲しいものだ。