アルファタウリのチーム代表を務めるフランツ・トストが、今年初めてF1フルシーズンを戦っているルーキードライバーのニック・デ・フリースが「プレッシャーを抱えている」のは確かだと示唆したものの、そのパフォーマンス自体は「それほど悪いものではない」と語った。
■苦戦が続くデ・フリース
昨年のF1第16戦イタリアGPで虫垂炎のために欠場することになったアレクサンダー・アルボンの代役としてウィリアムズでF1デビューを飾ったデ・フリースは、そのレースで9位入賞を果たしたことが評価され、今年はアルピーヌへ移籍したピエール・ガスリーの後任としてアルファタウリのフルタイムシートを手に入れている。
だが、実際にシーズンが始まると、28歳のオランダ人ドライバーであるデ・フリースはなかなか波に乗ることができず、5戦を終えた時点でまだ1ポイントも獲得することができていない。
さらに、先週末に行われた今季の第5戦マイアミGPの予選こそチームメートの角田裕毅を上回ったものの、決勝では角田が17番グリッドスタートから11位にまでばん回したのに対し、15番グリッドからスタートしたデ・フリースは逆に3つポジションを下げて18位フィニッシュとなっている。
先週には、WECなどでの活躍が知られるロシア人レーシングドライバーのゴール・オルツェフが、デ・フリースが今後すぐに調子を上げることができなければレッドブルのドライバープログラム責任者であるヘルムート・マルコが彼を解雇する可能性もあると示唆していた。
そのデ・フリースは、マイアミでのスタート直後にランド・ノリス(マクラーレン)に追突してしまったことも響いてしまい、ここでもいいパフォーマンスを発揮してみせることはできなかった。
■パフォーマンスそのものは悪くなかったとトスト
しかし、オーストリア出身のトストは、デ・フリースの母国であるオランダの『Formule 1(フォーミュレ1)』誌に対し、「本質的に、ニックのパフォーマンスはそれほど悪くはなかった」と語っている。
トストによれば、タイヤにフラットスポットが発生したことにより、デ・フリースは予定とは異なるタイミングでピットストップを行う必要があったのだという。
また、『Formule 1(フォーミュレ1)』からデ・フリースのF1でのここまでのパフォーマンスに満足しているかと質問されたトストは、次のように答えている。
「満足しているというのは少しばかり言い過ぎだろうね」
「だが、私は常に、新人にとってF1は簡単なものではないと言ってきた。特に最初の数レースはね」
「これから、イモラ(第6戦エミリア・ロマーニャGP/5月21日決勝)、モナコ(第7戦/5月28日決勝)、バルセロナ(第8戦/6月4日決勝)に向かうことになるが、それらのサーキットは彼も経験をしてきている。もし、我々にマシンを改善することができれば、ニックは恐らくもっと上に行けるだろう」
そう語ったトストは、デ・フリースは現在大きなプレッシャーを抱えているのかと尋ねられると、次のように答えた。
「F1では、常にプレッシャーを抱えるものだよ」
トストはさらに、第3戦オーストラリアGPと第4戦アゼルバイジャンGPでは2戦連続でポイントを獲得できていた角田が、マイアミでは惜しくも11位でポイントを逃したことに言及しながら次のように語っている。
「マイアミでは全てのマシンが完走したことを忘れてはならないよ」
「もしもトップチームが全て完走すれば、当然ながら、我々がポイントを獲得するのは難しくなってしまうよ」。