F1ドライバーたちは、あまりにもレッドブルが強すぎることから最近のレースが面白くないとして、“条件反射的”にルール変更などの対応を行うのは避けるべきだと考えているようだ。
■レッドブル独走を阻止するにはルール変更が必要?
バクーで行われた先週末のF1アゼルバイジャンGP後に、メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、レッドブルが強すぎることに言及しながら、次のように語っていた。
「彼らに追いつくためには、我々全員がもっといい仕事をしなければならない。あるいは、レギュレーションを変えなければならないよ」
■ドライバーの意見を聞かずに変更するのはおかしいとラッセル
しかし、ドライバーたちは、その前にできることがあるはずだと主張している。たとえば、DRSゾーンを短くするかどうかについてGPDA(F1ドライバーによる任意団体であるグランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)と相談するといったことだ。
GPDAのディレクターを務めているジョージ・ラッセル(メルセデス)は、バクーではFIA(F1統括団体の国際自動車連盟)が重要なDRSゾーンをドライバーたちに相談することなく短縮したことに言及しながら次のように語った。
「なぜ短縮されたのか、僕たち全員がよく理解していないと思うよ。バクーでは、レースがそれを示していたと思う」
だが、今週末のF1第5戦マイアミGP(7日決勝)でも同様の措置がとられることになっている。
■DRSだけの問題ではないとフェルスタッペン
しかし、現F1チャンピオンのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、この問題はもう少し複雑なものだと考えている。
25歳のオランダ出身ドライバーであるフェルスタッペンは、4日(木)にマイアミで次のように語った。
「DRSゾーンが短すぎるのか、あるいはマシンがうまく接近できるほどよくないのか、僕は、その両方が組み合わさっているんだと思うよ」
■2022年に導入された技術レギュレーションは失敗だった?
2022年に技術レギュレーションが大幅に変更され、現在のF1マシンは「グラウンドエフェクト効果」を持つものになっている。
だが、そのルール変更は明らかに失敗だったのではないかと考えている者も少なくない。
■条件反射的な対応は行うべきではないとラッセル
とは言え、ラッセルは、だからといってよく考えもせずに条件反射的なルール修正に動くべきではないと次のように語っている。
「これまでの数レースではオーバーテイクが難しくなっていると思う」
「でも、そうだね、条件反射的な対応は決して行ってはならないよ」
■問題はルールにあるのではないとアロンソ
一方、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、レッドブルがあまりにも強すぎるために、現在の技術ルールが悪く見えているという一面もあると考えている。
「もし、レッドブルがこれほど独走していなければ、3チームか4チームがコンマ1、2秒以内にひしめくとても面白い戦いになっていただろうね」
そう語った現役最年長F1ドライバーである41歳のアロンソは、次のように続けた。
「そうだったなら、僕たちはこのルールは成功だったと言っていたんじゃないかな」
「あるいは、もしかしたら数年後にそうなるかもしれないよ。このルールが安定したときにね。それに、タイヤにもよるだろうね」
「誰もが大きな期待を抱いていたのは確かだよ。だけど、まだもう少し時間を与えることが必要だと思う」。
■DRSゾーンの長さによる影響はマシンによって異なる
アロンソはまた、DRSゾーンが短くされたことが最大の問題だという説にも納得していないようだ。
「ルイス・ハミルトン(メルセデス)がDRSゾーンが短すぎると言ったと耳にしたけれど、メルセデスはマシンをハイダウンフォース仕様にしたことで、彼らにとっては短くなったんだと僕は思っている」
「レッドブルにとっては、DRSゾーンがすごく長いことが判明した。つまり、あるマシンにとっては長く、ほかのマシンにとっては短いんだ」
■本来オーバーテイクが少ないのがF1
アロンソは、そもそもF1やFIAがレギュレーション変更などでオーバーテイクを増やそうとしていることに無理があると考えているようだ。
「正直なところ、F1はこれまでずっとオーバーテイクが少ないという特徴を持っていたんだ」
「数年間にわたってルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタス(現アルファロメオ)が、そして、その前はセバスチャン・ベッテルとマーク・ウェバー(当時レッドブル)が常に1位と2位を占めていたよ」
「通常、2周目、3周目以降はオーバーテイクはそれほどないものだよ。でも、マイアミでは雨が降るかもしれないので、様子を見ることにしよう。だけど、今のオーバーテイクの数は驚くことではないと僕は思っているよ」
そう語ったアロンソは、次のように付け加えた。
「これはF1ではごく普通のことなんだ」