アストンマーティンのチーム代表を務めるマイク・クラックが、ライバルチームから移籍してきた2人のエンジニアが、2023年型F1マシン『AMR23』のパフォーマンス向上に大きな役割を果たしていることを認めた。
2022年はコンストラクターズランキング7位という不本意な結果に終わったアストンマーティンだが、2023年に入ると、フェルナンド・アロンソが開幕から3戦連続で3位表彰台を獲得するという目覚ましい躍進を果たしている。
そして、今年アストンマーティンのパフォーマンスが急上昇したのは、レッドブルから移籍してきたダン・ファローズと、メルセデスから移籍してきたエリック・ブランディンの2人の空力専門家に負うところが大きいと考えられている。
■そうではないと言えば“嘘になる”とチーム代表
「この2人の専門知識の恩恵を受けていないと言えば嘘になるだろうね」
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』にそう語ったクラックは、次のように付け加えている。
「全てのチームにはそれぞれ異なるアプローチの仕方がある。だから、それによって自分たちのやり方を洞察することができたんだ。我々には修正する必要があるのかどうかをね」
■レッドブルOBが重要な役割を担っているアストンマーティン
ちなみに、イギリス人エンジニアのファローズは2006年からレッドブルで空力部門のエンジニアを務めていたが、2021年6月にアストンマーティンと契約し、ガーデニング休暇を経て2022年4月にテクニカルディレクターとして勤務を開始している。
また、フランス人エンジニアのブランディンもかつてレッドブルでファローズと共に仕事をしていたが、2010年にフェラーリへ移籍すると、翌2011年にはメルセデスへ移っている。メルセデスでほぼ10年を過ごしたブランディンは2021年シーズン後にメルセデスを離脱し、やはりガーデニング休暇を経て2022年7月からアストンマーティンに正式加入している。
なお、ファローズが加入するまでテクニカルディレクターを務め、現在はアストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーズのチーフテクニカルオフィサー職に就いているアンドリュー・グリーンもかつてはレッドブルに所属していたことがある人物だ。
つまり、現在のアストンマーティン技術部門では、レッドブルOBが重要なポジションに就いていることになる。
■エイドリアン・ニューウェイもアストンマーティンに移籍?
さらに、最近では、天才F1マシン設計者とも称されるエイドリアン・ニューウェイ(レッドブル/チーフテクニカルオフィサー)もアストンマーティンへ移籍する可能性があると噂されている。
伝えられるところによれば、ニューウェイは現在レッドブルとの契約更新に向けた話し合いを行っているところだという。
その噂について質問を受けたレッドブルのクリスチャン・ホーナー(チーム代表)は、テレビ局『Sky(スカイ)』に次のように答えている。
「このパドックでは常に噂がささやかれているよ。それがF1なんだ」
「契約あるいは契約期間について語るつもりはない。だが、彼は今後何年もここにいることになるよ」
「彼が長期的に我々と共にいるのは素晴らしいことだが、我々が今関わっているようなプロジェクトに関与することにもなる」
ホーナーが言及したプロジェクトとは、2026年から正式にパートナーシップを組むフォードとのコラボレーションに関するものかもしれない。