最後に大きな混乱が起こってしまった先週末のF1オーストラリアGPだが、レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、最後の2周は安全のためにバーチャル・セーフティカー導入で周回させる方がよかったと考えている。
●【2023F1第3戦オーストラリアGP】決勝レースのタイム差、周回数
■終盤に大波乱となったオーストラリアGP決勝
メルボルンのアルバートパーク・サーキットで行われたオーストラリアGP決勝では、序盤にアレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)のクラッシュによって1回目の赤旗中断が発生。その後は大きなトラブルもなくレースが進行していたものの、58周で行われるレースが55周目に入ったところでケビン・マグヌッセン(ハース)がクラッシュし、これにより再び赤旗中断となってしまった。
その後、レースはセーフティカー先導により56周目の周回を行い、スタンディングスタートによって残り2周が争われることになった。
だが、レッドシグナルが消え、57周目が開始されると、当然ながらドライバーたちが順位を上げようと激しく競り合い、ここで複数台がからむマルチクラッシュが発生。レースは3回目の赤旗中断となってしまった。
結局、ファイナルラップの58周目はセーフティカー先導による周回となり、57周目のクラッシュで生き延びたドライバーたちが、そのクラッシュが起こる前の順位で1周を走行し、チェッカーフラッグを受けている。
■レース中断条件を正確に判断すべきだとメルセデスのボス
メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、レース後に次のように語っている。
「リスタートは素晴らしいことだと思うし、私も全体的にはいいエンターテインメントを提供することには賛成だよ」
「だが、レースが中断される正確な条件についてきちんと判断する必要があるよ。どういう場合にバーチャル・セーフティカー、セーフティカー、赤旗にするのかをね」
■最後のリスタートは危険だったとマルコ
こうした中、79歳のマルコは、残り2周で無理にドライバーたちを争わせる必要はなかったと考えているようだ。それは、危険を伴うものとなることが予想できていたためだ。
「最後の2周はバーチャル・セーフティカーを使うことができただろう」
「セルジオ(ペレス/レッドブル)は新しいソフトタイヤを履いていた。その一方で、何人かはすでに使用したタイヤ、異なるコンパウンドだった。そして、セーフティカーはものすごくゆっくりと走っていたから、タイヤは冷えていたし、全てが危険な状況にあったんだ」
そう語ったマルコは、残り2周でスタンディングスタートによるレース再開という判断は間違っていたと示唆し、次のように付け加えた。
「それは必要ではなかったよ」。