全23戦で争われる2023年のF1だが、ここまで2レースを終えた時点で、すでに今年のドライバーズタイトルを争うことになるのはレッドブルのマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスだろうと言われている。
だが、レッドブルにとって最大のライバルとなると考えられていたフェラーリやメルセデスがいまひとつ波に乗ることができていない中、アストンマーティンが大きな飛躍を見せており、今年アルピーヌから移籍してきた2005年と2006年のF1チャンピオンであるフェルナンド・アロンソが2戦連続で3位表彰台に上る活躍を見せている。
■アロンソは3回目のタイトルを狙える位置に?
F1関係者やファンの中には、すでにアロンソが2023年のドライバーズタイトル争いに加わり、悲願の通算3度目のタイトル獲得を目指してレッドブル勢と戦える位置にいるのではないかと考えている者もいるようだ。
だが、スイス出身の元F1ドライバーであるマルク・スレールは、そう考えるのは早計だと主張している。
「それが可能となるのは、ほかのドライバーが脱落した場合だけだ」
「もしも、レッドブルが信頼性に問題を抱え続ければ、間違いなくアロンソにもチャンスが生まれてくるだろう。そうでなければ、アストンマーティンにはレッドブルよりもうまくマシンを開発するが必要があるよ」
『formel1.de』にそう語ったスレールは、次のように付け加えた。
「それが、アストンマーティンが昨年を非常に低い順位で終えたことによるアドバンテージなんだ。シーズンが進むにつれて、風洞時間が利益を生む可能性があるからね」
■カギはレッドブルとの風洞テスト時間の差
2022年シーズンをコンストラクターズランキング7位で終えたアストンマーティンは、2023年の風洞テスト時間はルールに定められた1200時間を100パーセント利用できることになっている。
一方、2022年のコンストラクターズチャンピオンとなったレッドブルは、ルールにより風洞時間が70パーセントに制限されるとともに、2021年のバジェットキャップ(チーム予算上限)違反のペナルティーとしてさらにそこから10パーセントが削減され、トータル756時間しか風洞テストを行うことが認められなくなっている。
つまり、今年のアストンマーティンはシーズン中にレッドブルよりも444時間も多く風洞テストを行うことができるわけで、これがアストンマーティンにとって大きなアドバンテージとなる可能性がある。
レッドブル首脳のヘルムート・マルコも、この風洞テスト時間の差により、今シーズン中の開発に差が出る可能性を認めており、だからこそシーズン序盤にライバルたちに大きな差をつけておく必要があると認めている。
アロンソが今後のレースでもフェラーリやメルセデスの上を行き、レッドブルから大きく離されない位置をキープすることができれば、シーズン後半にはフェルスタッペンやペレスとともにドライバーズタイトルを争うことができる状況が生まれる可能性もあるだろう。