ひょっとすると、近い将来F1のフリー走行セッションが廃止されることになるかもしれない。
現在のF1では、基本的に金曜日に2回、土曜日に1回のフリー走行が行われるスケジュールとなっている。
2023年には6つのグランプリでスプリントが行われるが、その週末には金曜日に1回、土曜日に1回のフリー走行が組み込まれている。
■フリー走行は全廃するべきだとハースのボス
だが、そのフリー走行を今後すべて廃止するべきだと主張している者たちもいる。
その1人は、ハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーだ。シュタイナーは、レース週末全体が基本的にフリー走行なしで行われれば、F1はもっとエキサイティングなものになるはずだとイギリスの『Daily Mail(デイリー・メール)』に語り、次のように続けている。
「金曜日にスプリントレースのための予選を行う。そして、土曜日の朝にグランプリ(決勝レース)のための予選を行い、土曜の午後にスプリントレースを行うんだ」
「私はフォーミュラ・ワン・グループ(F1運営管理企業体)にそう主張したよ」
■大衆が好まないフリー走行はやめるほうがいいとF1最高責任者
そして、現在CEOとしてF1を率いているステファノ・ドメニカリも、シュタイナーの意見を積極的に支持しているようだ。
フェラーリの元チーム代表であるステファノ・ドメニカリは2020年からF1最高責任者を務めているが、2021年から年間数レースで行われているスプリントの導入を推進した人物でもある。
そのドメニカリは、2023年のMotoGP開幕戦(26日決勝)が開催されたポルトガルにおいて同国の『Sport TV(スポルトTV)』に次のように語った。
「私は、エンジニアにとっては非常に有益だが、大衆が好まないフリー走行セッションの中止を支持するよ」
「フリー走行は、エンジニアやドライバーにとっては非常に興味深いものだ。しかし、結局のところ、スポーツにおいては、何かを勝ち取るために戦う必要があるんだ」
実際のところ、テレビ放映権料が大きな収入源のひとつとなっているF1だが、フリー走行だけしか行われない金曜日の視聴率はそれほど高くないのが事実だ。
仮に、金曜日に予選やレースのようなイベントがあれば、その日のテレビ視聴率やサーキット入場者の増加が大いに見込めるだろう。そうなれば、F1は将来のテレビ放映権料交渉もさらに有利な形で進められることになる。
しかし、放映権料や開催料が高くなればF1やチームの収入は増えることになるが、これまでのように視聴者やサーキットを訪れる観戦者の負担は増えることになるだろう。
■ドメニカリの妥協案は金曜朝に1回だけのフリー走行実施
とは言え、ドメニカリも、フリー走行の完全廃止は多くのチームやドライバーから支持されそうにないことを認めている。
「だから、私は金曜日の午前中に1回だけフリー走行を行い、その後はコースに出るたびに何らかの賞が与えられるよう、非常に積極的に取り組むつもりだ」
そう語った57歳のドメニカリは、次のように付け加えた。
「つまり、これが今後に向けた話し合いで述べることになる私の意見だよ」。