スイス出身の元F1ドライバーであるマルク・スレールは、レッドブルの前途は多難なものになりそうだと予想している。
■チームメートの関係が“爆発”する可能性も?
2023年のF1選手権は全23戦中まだ2戦が終わったに過ぎない。だが、F1関係者やメディアの多くが、今年のF1ドライバーズタイトルはレッドブルのマックス・フェルスタッペンとチームメートであるセルジオ・ペレスによって争われることになると考えている。
そして、現在71歳のスレールは、その戦いがスムーズに進むことはないという前兆がすでに見てとれると指摘している。
「彼らはお互いに本当に不信感を抱いているようだね」
『motorsport-total.com』にそう語ったスレールは、フェルスタッペンとペレスが対立関係にあることが明らかとなった2022年のブラジルGPに言及しながら次のように続けた。
「そして、それは消えてなどおらず、まだそこにあるよ」
「チームは、それはたいしたことではないとしているし、ドライバーたちもそれについて本当のことを言ってはいない。だが、ある時点でそれが爆発する可能性もあるよ」
■レッドブルは2人をお互いに争わせるべき?
実際のところ、第2戦サウジアラビアGP決勝では、フェルスタッペンが最終周にファステストラップを刻み、それによる1ポイントを加算したことでランキングトップの座を守っている。
だが、ペレスは、フェルスタッペンがチームの指示を無視してファステストラップを刻んだのではないかとの不満を抱いているように見えた。
「セルジオは自分にとってのチャンスだと思っているんだ」
かつてアロウズやブラバムなどでF1を戦った経験を持つスレールはそう語ると、次のように続けた。
「もちろん、彼はほかのドライバーの不運を期待しなければならない。だが、もしマックスのドライブシャフトがまた壊れたりするようなことがあれば、彼は突然タイトル争いのトップに立つことになるだろう」
「もちろん、フェルスタッペンのほうが速いことは誰もが知っているがね」
そう語ったスレールは、自分はレッドブルがフェルスタッペンとペレスがお互いに戦うことを許すことを望んでいると次のように付け加えている。
「ひとつのチームがこれほど圧倒的に強い場合、エンターテインメント的にも、少なくとも2人のドライバーがお互いに攻撃し合うことは許されるべきだよ」
■結局レッドブルはフェルスタッペン優先?
一方、フェルスタッペンと同じオランダ出身のレーシングドライバーであるトム・コロネルは、サウジアラビアGPでのファステストラップ問題に関してフェルスタッペンがチームの指示を否定していたわけではないとレッドブルが示唆したことは、結局のところ、レッドブルがフェルスタッペンを優先的に処遇していることの証拠だと考えているようだ。
「彼は素晴らしいドライビングをしている。だから、チームは何も言わないよ」
『automoto.it』にそう語った1999年のフォーミュラ・ニッポン年間チャンピオンとして日本でもよく知られるコロネルは、レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)とクリスチャン・ホーナー(チーム代表)の名前をあげながら次のように付け加えている。
「マルコとホーナーは『君は我々の言うことを聞かなかった!』とは決して言わないよ。それどころか、彼らは『よくやった!』と言うんだ」。