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レッドブル2023年型F1マシンが持つ強力な武器のひとつは「DRS」

2023年03月22日(水)17:54 pm

開幕2連勝を飾ったレッドブルだが、今年のレッドブルF1マシンが持つ大きなアドバンテージの一部はDRSによって生み出されているようだ。

通常は空気抵抗を利用することでリアのダウンフォースを生む役割をしているリアウイングだが、オーバーテイクをする際に直線スピードが必要なときには、その一部が跳ね上がって空気抵抗を一時的に減らすことができるようになっている。

これが『DRS(Drag Reduction System/空気抵抗削減システム)』と呼ばれるシステムであり、それによって直線でのスピードが向上し、前を走るマシンをオーバーテイクしやすくなるのだ。

現在はサーキットごとに1~3か所のDRSゾーンが設けられており、検知ポイントにおいて前方を走るマシンとの差が1秒以内だった場合に、次のDRSゾーンでこれを作動させることが可能となっている。

■レッドブルのスピードに驚かされたハミルトン

メルセデスのルイス・ハミルトンは、先週末の第2戦サウジアラビアGP決勝でマックス・フェルスタッペンが自分をオーバーテイクしたときのスピード差に驚かされたと次のように語っている。

「どうやったのか、あるいは、なぜなのかはわからない。だけど、彼はすごいスピードで僕を追い抜いていったよ」

「あまりにも差が大きすぎたから、僕はディフェンスしようとさえしなかったよ」

ホンダRBPTエンジンを搭載するレッドブルF1マシンは、DRSを使用しない状態でも直線では速いことが知られている。だが、DRSが使える状況となった場合に、レッドブルはほかのチームのマシンとの比較において、それによるオーバーテイク補助効率が特に優れていると考えられているようだ。

「ルイスは正しいよ」

テレビ局『Sky UK』のレポーターを務めるテッド・クラヴィッツはそう語ると、次のように付け加えている。

「彼は、これまでDRSであれほどスピードを上げた者は見たことがないし、どうしてそんなことが可能なのか理解できないと言っている」

■今年は昨年よりも先行マシンへの接近が難しいとサインツとノリス

実際のところ、2023年シーズンは、フェラーリもそうだが、ほかのチームはストレートで以前よりも苦戦しているようだ。

フェラーリのカルロス・サインツはこれについて次のように語っている。

「汚れた空気(ダーティー・エア)の中では、昨年に比べて少し悪くなっているよ」

「おそらく、それはダウンフォースの増加や新しいレギュレーションによるものだろうね。だけど、今のマシンは前世代(2021年以前)のマシンとほぼ同じような挙動を示すようになっているよ。相手にぴったりとついていくのが難しくなっているんだ」

今シーズンは予想外の不調に苦しんでいるマクラーレンだが、現在ドライバーズランキングの最下位に沈んでしまっているランド・ノリスもこれについて次のように語っている。

「汚れた空気の中では、僕たちはほかのマシンについていくのに大きな問題を抱えているよ」

■レッドブルの速さの秘密は総合的な空力性能の高さか?

サインツやノリスが言う「汚れた空気(dirty air)」とは、自分の前方を走るマシンが引き起こす“乱気流”のことだ。2021年までは前を行くマシンが発生する乱気流の影響を受けて、後続マシンがなかなか前車に接近できず、その結果オーバーテイクが難しくなっていた。

これを改善するために、F1は2022年に新たな技術レギュレーションを導入し、マシンをシャシー自体がダウンフォースを発生する“グラウンドエフェクト”機能を持つものに変更している。

これによって、確かに以前よりは前のマシンに接近しやすくなったものの、同時にマシンが高速走行時に上下に大きく振動する“ポーポイズ現象”が発生するマシンが多かったことから、今年はそれを抑制するために、フロアのエッジ部分をこれまでよりも15ミリメートル高くするなどの微調整が行われている。

ともあれ、こうした中で、DRS作動時に昨年よりも楽々と先行マシンをオーバーテイクできるように見えるレッドブルは、総合的な空力性能においてライバルよりも一歩前を進んでいるのは間違いないようだ。

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