ドイツの『Bild(ビルト)』紙とスイスの『Blick(ブリック)』紙が報じたところによれば、先週末のF1サウジアラビアGP決勝でフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)に対して10秒ペナルティーが科されるという混乱を招く原因を作ったのは“メルセデス”だったという。
■メルセデスがFIAにペナルティーの可能性を示唆
両紙によれば、ジェッダ・コーニッシュ・サーキットでのレース中に、グリッド位置違反で5秒ペナルティーを受けたアロンソがピットに戻ってそれを消化している間、アストンマーティンのメカニックがジャッキでマシンに触れていたかどうかを調べるよう統括団体であるFIA(国際自動車連盟)のレーススチュワード(競技委員)に要請したのはメルセデスだったという。
サウジアラビアGPのレーススチュワードはこれを受けて、表彰式後にいったんアロンソに10秒ペナルティーを科すことを決定。アロンソは3位から4位に後退することになった。
だが、その後FIAがその判断は誤りだったとしてアロンソのペナルティーを撤回。ようやくアロンソの3位が確定するというドタバタに発展してしまっていた。
『Bild(ビルト)』はこれに関して次のように報じている。
「我々の情報によると、レース中にFIAのレーススチュワードに無線システムを通じてヒントを与えたのはシルバーアロー(メルセデス)だった」
メルセデスはこの報道に対して正式にコメントすることを拒否したという。
■疑いを持っていたのは事実だとメルセデスのボス
だが、メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、アロンソのメカニックが違反行為を行ったのではないかという疑いを抱いていたことを認め、これについて次のように語った。
「我々はそれを見たし、何度かビデオを再生したよ。ペナルティーが与えられるかどうか、完全にははっきりしていなかったけれどね」
伝えられるところによれば、FIAが当初アロンソにペナルティーを科したのは、単にマシンに触れただけでダメだという合意がチーム間に存在すると考えたためだという。
しかし、どうやらそのような合意は存在しなかったようで、その結果、アロンソに対するペナルティー判定が覆されたということのようだ。
■ペナルティーのプロセス改善を目指すFIA
FIAでは23日(木)に今回のアロンソのペナルティー問題をレビューし、今後に向けてプロセス改善に取り組むとしている。
ヴォルフも、今後このような誤解が二度と起きないようにするために話し合う必要があることを認め、次のように語っている。
「ジャッキがマシンに触れただけでペナルティーを受けるのが正しいのかどうかを話し合う必要がある」
「そういうケースで我々が得をする可能性があるとしても、変更する必要があるかもしれないね」
当初アロンソに10秒ペナルティーが科されたことで、4位フィニッシュしていたメルセデスのジョージ・ラッセルが3位に繰り上がることになっていた。しかし、ペナルティー撤回によってアロンソの通算100回目の表彰台が確定。ラッセルの通算10回目の表彰台は幻と消えてしまっている。