アストンマーティンのチーム代表を務めるマイク・クラックは、レッドブルがこのまま最後までライバルチームとの差を保ち続けるのは難しいだろうと考えている。
●【2023F1第2戦サウジアラビアGP】正式な決勝レースのタイム差、周回数
■現時点では“異次元”のレッドブル
2023年F1第2戦サウジアラビアGPも開幕戦バーレーンGP同様レッドブルの1-2フィニッシュで幕を閉じた。
しかも、ジェッダ・コーニシュ・サーキットで行われたサウジアラビアGPでは、開幕戦でポール・トゥ・ウィンを達成したマックス・フェルスタッペンがマシントラブルにより予選Q2で敗退し、決勝を15番グリッドからスタートしていたにもかかわらずだ。
サウジアラビアで勝利したのはセルジオ・ペレスだったが、フェルスタッペンも13台のマシンを追い抜いて2位フィニッシュを達成している。
通算7回のF1ドライバーズタイトル獲得記録を持つルイス・ハミルトン(メルセデス)は、今年のレッドブルF1マシンは史上最速レベルではないかと示唆するなど、まさにレッドブルが異次元の速さを見せているのは間違いない。
■それ以上の驚きはアストンマーティンの躍進?
一方、今年のF1には、このレッドブルの強さよりももっと信じられないようなことが起きているのも事実だ。
それは、昨年はコンストラクターズランキング7位に終わったアストンマーティンが、今季はフェラーリやメルセデスをしのぐ2番目に強いチームとなっていることだ。
昨年限りで引退したセバスチャン・ベッテルの後任としてアルピーヌから移籍してきたフェルナンド・アロンソは、開幕戦と第2戦でいずれもレッドブル勢に次ぐ3位表彰台を獲得している。
サウジアラビアではランス・ストロールがメカニカルトラブルでリタイアを喫したことで、現時点でのコンストラクターズポイントはメルセデスと同じ38ポイントで並んでいるものの、レースではアロンソが駆るアストンマーティンF1マシンがフェラーリやメルセデスを圧倒しているのは間違いない。
■レッドブルが優勢であり続けるのは難しい?
昨年からそのアストンマーティンを率いている前BMWモータースポーツ責任者のクラックは、現時点ではレッドブルが圧倒的な強さを示しているものの、今後自分たちやフェラーリ、メルセデスがレッドブルとの差を縮めていくことも十分に可能だと考えているようだ。
「シーズンはまだ長い。私はレッドブルがそのアドバンテージを維持していけるとは思わないよ」
テレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』にそう語った51歳のクラックは、次のように付け加えている。
「我々の背後には、追いつくためならなんでもする2つのビッグチームがいる。だから、私からファンへのメッセージは、辛抱強くF1を見続けることだよ」
■レッドブルの不安要素は風洞時間削減ペナルティー
現時点ではライバルたちに大きな差をつけているレッドブルだが、昨年コンストラクターズタイトルを獲得したことによる風洞時間の削減に加え、2021年にバジェットキャップ(チーム予算上限)違反があったことから、さらに風洞時間が10パーセント削減というペナルティーを科されている。
昨年コンストラクターズランキング7位だったアストンマーティンは、規定通り100パーセントの風洞時間を使ってシーズン中のマシン開発が可能だが、レッドブルはその63パーセントに相当する風洞時間しか許されないことになるわけだ。これにより、シーズン後半には、クラックが言うように、ライバルチームたちがレッドブルとの差を縮めることも可能になるのではないかと考えられている。