今年ウィリアムズの新チーム代表に就任したジェームズ・ヴォウルスが、2026年から搭載するエンジンに関して今年中に検討を行うつもりであることを認めた。
■今後もウィリアムズというチーム名は変わらず
チームの共同設立者であった故フランク・ウィリアムズが率いてきたウィリアムズは、F1コンストラクターズタイトルを9回、ドライバーズタイトルを7回獲得した実績を持つ名門プライベートF1チームだ。
しかし、2000年代に入ってからは大きな予算を持つ自動車メーカー系のチームが台頭するようになり、そうした後ろ盾を持たないウィリアムズは財政的に苦しい立場においやられてしまった。
2013年から娘のクレア・ウィリアムズが事実上のトップとしてチームを引っ張ってきていたものの、最終的には2020年にアメリカの投資会社ドリルトン・キャピタルにチームを売却し、ウィリアムズ家は完全にチーム運営からは外れている。
しかし、新オーナーは、その後もウィリアムズというチーム名称で戦い続けることを選択。そして、ヴォウルスもこのほど次のように語った。
「ウィリアムズという名前は象徴的なブランドであり、それを外す理由はないと思う」
■今後も独立チームとして続けるウィリアムズ
1997年にジャック・ビルヌーブがウィリアムズ最後のF1チャンピオンとなってから、すでに四半世紀が経過したウィリアムズだが、現在はエンジンに加え、トランスミッションもメルセデスから供給を受けている。
昨年まで長期にわたってメルセデスの戦略責任者を務めていたヴォウルスがウィリアムズに移籍することが明らかとなったとき、これはウィリアムズがメルセデスの事実上のBチームとなることを意味するものではないかとの噂がささやかれた。
だが、実際にはその噂は的を射てはいなかったようだ。逆に、ヴォウルスは、将来的にはエンジン以外に関してはできるだけ内製し、独立系チームとして運営し続けていくつもりだと次のように主張している。
「運命は、ある時点で、自分の手で掴まなければならない。ずっと他者を頼るわけにはいかないよ」
「しかし、現時点においては、我々が立ち直るためにはメルセデスと組んでいるようなパートナーシップが最善の方法なんだ」
■2026年以降のエンジンパートナーは?
しかし、新たなエンジンレギュレーションが導入される2026年以降もウィリアムズがメルセデスエンジンを搭載し続けるかどうかはまた別の話だ。
とりわけ、現在レッドブルとそのセカンドチームであるアルファタウリにエンジンを供給しているホンダが2026年以降に手を組む新たなパートナーを探しており、ウィリアムズもその候補チームのひとつだと考えられている。
ヴォウルスは、ウィリアムズでは今年中に2026年から手を組むエンジンパートナーについて検討を行っていくつもりだと語り、次のように続けた。
「2026年のエンジン供給に関して、メルセデスやほかのメーカーと話し合っているよ」
「チームにとって最良の決断を下すために、市場を分析しているところだ」
■バジェットキャップにより小規模チームにもチャンス
F1では2021年からバジェットキャップと呼ばれるチーム予算上限が導入されている。これにより、ウィリアムズやハースのような小規模プライベートチームも、今後はより公平な条件で競技できることになっていくはずだ。
ハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーは、今年『MoneyGram(マネーグラム)』を新たなタイトルスポンサーとして迎えたことで、初めて予算枠をフルに使って戦うことができるようになったと認めている。
57歳のシュタイナーは、フランスの『Auto Hebdo(オト・エブド)』に次のように語った。
「それは確かだ。そして、あまり多くを語らずとも、これは今年の全チームに当てはまることだと言えるよ」