メルセデスのジョージ・ラッセルは、2023年型メルセデスF1マシンのサイドポッド形状を変えただけでライバルたちに追いつけるとは考えていないようだ。
■ライバルたちに後れをとったメルセデス
昨年に引き続き“ノー・サイドポッド”と呼ばれるユニークなコンセプトの2023年型マシンを投入したメルセデスだが、先週末に行われた開幕戦バーレーンGPでは予選と決勝のいずれも現チャンピオンチームであるレッドブルに大きな差をつけられてしまった。
そればかりではない。現時点でのメルセデスは、レッドブルやフェラーリだけでなく、アストンマーティンにも先行を許してしまっている。
こうした中、メルセデスはすでに“ノー・サイドポッド”コンセプトを諦め、改良マシンの開発を進めているものと考えられている。
■アリソンの現場復帰も?
噂によれば、メルセデスF1チームを率いるチーム代表のトト・ヴォルフは、現在テクニカルディレクターを務めているマイク・エリオットに対し、今季のF1マシン『W14』の改良に関する「最後通告」を突きつけたという。
その一方で、ヴォルフはもはや2023年シーズンに見切りをつけ、2024年に向けた開発にシフトする可能性も示唆している。
「決定は迅速かつ正しく行われる必要がある」と語ったヴォルフは、次のように付け加えている。
「さもなければ、今シーズンは早々に終わってしまい、次のシーズンも危うくなってしまうからね」
最近の報道によれば、メルセデスは前テクニカルディレクターであるジェームス・アリソンを再び現場に復帰させることも検討しているようだ。2016年までフェラーリのエンジニアを務め、2017年からメルセデスのテクニカルディレクターを務めていたアリソンだが、2021年7月にチーフテクニカルオフィサーに就任し、F1の第一線から退いて管理職業務やF1以外の開発プロジェクトに従事している。
■次のレースではメルセデスF1マシンに“目に見える変化”
ともあれ、そのアリソンの後任テクニカルディレクターとして2022年型マシン、2023年型マシンの開発を統括してきたエリオットが今、速やかに2023年型マシンのパフォーマンスを向上させてレッドブル、フェラーリ、そしてアストンマーティンと戦える状態に持っていかなくてはならないという非常に厳しい立場に置かれているのは間違いないだろう。
48歳のイギリス出身エンジニアであるエリオットは、次のように語っている。
「それには時間がかかるよ。しかし、次のグランプリではマシンに目に見える変化があることがわかるだろう」
エリオットの言う“目に見える変化”とは、サイドポッドの形状のことだろうと考えられている。噂によれば、メルセデスは早ければ来週末に行われる第2戦サウジアラビアGP(19日決勝)、もしくは第3戦オーストラリアGP(4月2日決勝)で、これまでの“ノー・サイドポッド”ではなく、レッドブルのマシンに似た形状のサイドポッドが施された改良マシンを投入する可能性もあるようだ。
■サイドポッドを変えても改善は期待できないとラッセル
しかし、今年メルセデスに昇格して2年目のシーズンを迎えている25歳のラッセルは、その改良マシンに大きな期待を抱いてはいないようだ。
「正直に言って、もし来週、レッドブルのようなサイドポッドをマシンに付けても、それでよくなるとは思わない」
そう語ったラッセルは、次のように付け加えた。
「僕は、僕たちには見ることができないフロアの下やそのほかの部分でマジックが起きているのだと思っているよ」