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【メルセデス】今年のF1マシンは「ゴミ箱に捨てられる」とチーム代表のトト・ヴォルフ

2023年03月08日(水)19:29 pm

メルセデスF1チームを率いるトト・ヴォルフは、すでに自分たちは2023年のF1タイトル争いからは脱落したと考えているようだ。

■今年はレッドブルが全てのレースで勝つとヴォルフ

ヴォルフと同じオーストリア出身であるレッドブル首脳のヘルムート・マルコは、先週末に行われた2023年F1開幕戦バーレーンGPが終わってすぐ、もしもレッドブルが今のメルセデスと同じ立場であれば、その差を取り戻すのに「3レースか4レースはかかるだろう」と語っていた。

しかし、51歳のヴォルフの頭の中には、すでに別の考えが生まれているようだ。それは、完全に新しいマシンコンセプトに移行するため、2023年シーズンを諦めて2024年型マシンの開発に全面的に切り替えることだ。

ヴォルフは、母国オーストリアの『Osterreich(エステルライヒ)』に次のように語り、もはや2023年には自分たちが勝てるチャンスはないと認めている。

「バーレーンを終えて、私はレッドブルが今年全てのレースで勝つと信じているよ」

■2023年型マシンの開発はストップ?

しかし、先週末のバーレーンでルイス・ハミルトンが5位、そしてジョージ・ラッセルが7位でチェッカーフラッグを受けた直後には、ヴォルフはオーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』に対し、選手権を戦うために今後も積極的に取り組んでいく計画だと語っていた。

そのことについて質問されたヴォルフは、次のように答えている。

「そうだね。だが、それは今年という意味ではなかったんだ」

「今年については、もはやそうではないよ」

実際、ヴォルフはオーストリアの放送局『ORF』にも次のように語っている。

「我々は自分たちのマシンをゴミ箱に捨てることができるよ(We can throw our car in the trash can.)」

「ひとつのチームが何マイルも先を行っている。彼らは競争相手をもてあそんでいるよ。彼らのタイヤは消耗することさえないんだ」

■マシンコンセプトは簡単に変えられるものではない

メルセデスにとってもうひとつの選択肢は“ノー・サイドポッド”とも呼ばれる、極端にサイドポッドを絞り込んだ独特なマシンコンセプトを捨てて、レッドブルやアストンマーティンのような手法を取り入れることを試みることだろう。

実際、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、メルセデスはすでに改良マシンの風洞テストを行っていると報じている。

「それはできるかもしれない」

そう語ったヴォルフは次のように続けた。

「だが、ただ単にサイドポッドをマシンにつければいいという話じゃないんだ。重要なのは空気の流れだからね」

「我々のマシンは引き締まっているが、速くはない」

「昨年は、マシンがどんどん良くなって、レースでも勝てた。このコンセプトを貫くことに決めたのはそのためだよ」

「そして、新しいシーズンが始まると、突然、何もうまく機能しないことがわかったんだ」

■まだ諦めるには早いとクルサード

かつてマクラーレンやレッドブルで活躍した元F1ドライバーのデビッド・クルサードは、今はまだ開幕戦1レースが終わったに過ぎないのに、あからさまに2023年型メルセデスF1マシンにダメ押ししたヴォルフに驚いているようだ。

「マシンが実際に走ったのはたった6日だけだ。数日のテストとバーレーンでの3日間のね。彼がどうしてそんなことを言い出したのか、私にはわからないよ」

母国イギリスの放送局『Channel 4(チャンネル4)』にそう語った51歳のクルサードは、次のように付け加えた。

「設計チームに対するなんらかの刺激のようなものだろうね。だが、確かに、彼らはサイドポッドに関してはまったく違う戦略を持っている。彼らが今後集団について行くために取り組む必要があるのは明らかだよ」

■前テクニカルディレクターのアリソンが復帰?

メルセデスは、パワーユニットと呼ばれる現在のハイブリッド方式エンジンが導入された2014年から2021年まで8年連続でコンストラクターズタイトルを獲得した実績を持っている。

その間、2014年から2017年までは技術担当エグゼクティブディレクターであったパディ・ロウ(2017年にウィリアムズへ移籍)が、そして2018年から2021年までは2017年にフェラーリからテクニカルディレクターとして移籍してきたジェームズ・アリソンが携わったマシンで戦ってきた。

ところが、アリソンは2021年にチーフ・テクニカル・オフィサーに就任し、現場でのテクニカルディレクター職は後任のマイク・エリオットに託されている。そのエリオットが中心となって設計・製造された2022年型マシンは斬新な“ノー・サイドポッド”コンセプトで目を引いたものの、レッドブルばかりかフェラーリにも及ばずランキング3位に後退。そして迎えた2023年も序盤から大きくつまずいてしまっている。

そうしたことを受け、最新の噂では、メルセデスがアリソンを現場責任者として復帰させる準備を進めているとも言われている。

ともあれ、まだ1レースが終わったに過ぎない時点ですでに白旗を掲げたように見えるメルセデスが今後どのような巻き返しを図ってくるのかにも大きな注目が集まりそうだ。

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