最近、通算7回F1王座に就いた記録を持つルイス・ハミルトンが、現役引退を決める日もそう遠くないのではないかとの噂が強くささやかれるようになっている。
だが、ハミルトン本人が、そうした噂は事実無根だと否定し、自分はたとえ2023年の結果が思わしくなかったとしても2024年もメルセデスでF1を続けると示唆した。
■新契約交渉開始が遅れているのは引退の兆し?
ハミルトンとメルセデスの現在の契約は今年までとなっている。2022年シーズンは不本意な結果に終わったものの、ハミルトンは今後もF1を続ける意思があるとし、シーズンオフの間にメルセデスと2024年以降に向けた契約交渉を始めることになるだろうと示唆していた。
だが、実際にはその交渉はまだ行われてはいなかったようだ。メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフは最近、38歳となったハミルトンとの契約交渉はもうすぐ始まるだろうと語っている。
こうした中、かつてマクラーレンでハミルトンのチームメートだった元F1チャンピオンのジェンソン・バトンが、おそらくハミルトンはメルセデスの2023年型マシンの競争力を確認してから契約をどうするかを考えるつもりだろう語り、「そうでなければこれほど(交渉が)遅れることはないだろう」と指摘。
また、1996年のF1チャンピオンであるデイモン・ヒルも、ハミルトンは2024年シーズン以降もF1を続けるかどうかについて「非常に真剣」考えているところだろうとコメントしたことから、ハミルトンがF1引退を決めるのもそう遠いことではないかもしれないという噂が一層大きく報じられるようになったのだ。
だが、今季のF1開幕戦の舞台となるバーレーンでこれらのコメントについて質問されたハミルトンは、2日(木)に次のように答えた。
■F1引退説は事実無根の噂に過ぎない
「根も葉もない噂を流している人たちがほとんどだ。何の役にも立たないよ」
「みんなは、彼らはすでに僕のことがわかっているんだと考えただろうね」
■今年の結果がどうであれF1を続ける
ハミルトンは、たとえ2023年が昨年のような難しい年になったとしても、F1を続けるという意思が変わることはないと次のように続けている。
「昨年は困難な年だったけれど、僕はまだここにいる。そして、今年が困難な年になろうがそうではなかろうが、それでも僕はここにいるつもりだよ」
「もちろん、素晴らしいクルマでシーズンをスタートさせたいよ。だけど、契約を妨げるようなことは何もないんだ」
「僕はすごく幸運な位置にいるんだ。そのうち契約を結ぶときが来るよ」
そう語ったハミルトンは次のように付け加えた。
「トトやメルセデスとはすごくいい関係だし、常にお互いにサポートし合っている。僕たちはそこに辿り着くことになるよ」
■マシンコンセプトを見直す余裕はない
一方、メルセデスは昨年に引き続き“ノー・サイドポッド”とも呼ばれる独特なコンセプトによるF1マシンを投入しているものの、場合によっては数レース以内にそのコンセプトを捨てる可能性もあるとの報道もある。
だが、ハミルトンはこうした報道に関しても強く否定している。
「プランBなんてないよ。それは全く意味のないことさ」
そう主張したハミルトンは、次のように付け加えた。
「僕たちは予算が限られている時代に生きているんだ。だから、クルマの設計をやり直したり、最初からやり直したりするような時間は全くないよ」。