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【放映権】F1、フジテレビと“CS放送”の3年契約を発表!F1側の契約条件で長引いたか?他国の事情は?放映権利料は何に使われる?

2023年02月23日(木)20:04 pm

F1はフジテレビジョンは23日、CS放送サービス『フジテレビNEXTライブ・プレミアム』において、2025年までF1中継を継続することを発表した。

●【DAZNとの比較も】フジテレビNEXT、2023年もF1放送決定!本日のプレシーズンテストから全セッション放送!

この契約により、フジテレビはCS放送『フジテレビNEXTライブ・プレミアム』とスマホアプリ『フジテレビNEXTsmart』において、2023年シーズンはF1全23戦のフリー走行、予選、スプリント、グランプリを含む全レースをライブ中継することになる。また、本日23日からバーレーンで行われるプレシーズンテストも3日間にわたり完全生中継する。

フジテレビは1987年に鈴鹿で開催されたF1日本グランプリ以来、37年目のF1シーズンになる。また、1998年に始まったCS放送での全セッション生中継は26年目を迎える。

■F1としては好都合?

日本企業は決算ごとに収支を出すこともありこれまで単年契約が多かった。しかし、F1側としては以前から長期契約を希望しており、他国も複数年契約がほとんどだ。

世界中のテレビ局などと放映権を交渉しているF1側にとったら、同じ契約を毎年継続するなら、3年の複数年契約をした方が交渉や事務手続きの手間が省け、長期的に確約できた方が効率的なのは明らかだ。

DAZNとフジテレビの契約発表が遅れた要因も、F1側が「3年契約を条件」として求めていたことで、社内調整・決裁に時間がかかったのではないかと思われる。

また、日本側の都合としても、ホンダが2025年まで継続することを発表しているため、3年契約は承認できる現実的な年数と言える。もしホンダが2026年以降もF1に関わることが決まっていれば、4年以上の放映権の可能性も考えられるだろうが、現段階では2025年が双方にとってちょうど良い落としどころだったのだろう。

■F1放映権は様々

F1放映権の契約については、各国の契約発表を見ていると実に様々で、各国の状況に合わせてカスタマイズされているのがわかる。

契約はもちろん当事者同士しか知り得ないことなので詳細を正確に知る事はできないが、今年のF1側の正式なプレスリリースにはDAZNとフジテレビのどちらも「broadcast(放送)」と表現されていた。

日本語ではTVは「放送」、インターネットは「配信」という表記を分けて使われる事がまだ多いが、TV電波経由かインターネット経由という違いだけで、「映像を流すサービス」という意味では同じだ。

また、昔は「テレビ=電波」「インターネット=PC、スマホ」という概念もあったが、最新のテレビ(本体)ではNetfrixなどインターネット経由の放送も観られ、その逆でPCやスマホからもテレビの同時配信を観る事ができる時代になっており、もはやデバイス(端末)による区別はできなくなっている。

■他国の状況は?

実はフジテレビとの契約がF1から発表された2時間半ほど前、韓国のeコマース企業『Coupang(クーパン)』のOTTサービスである『Coupang Play』との契約も発表されていた。日本だと楽天のような企業だ。

そこには「exclusive livestreaming service(独占ライブストリーミングサービス)」と書かれており、「broadcast(放送)」という表記はない。OTTサービスとは、NetflixやYouTube、AbemaやHuluなどの配信サービスだ。このように、表記は各国の状況により様々だ。その他の放映権の発表を見ても、無料・有料、独占、テレビ、アプリ、独自プラットフォーム、配信方法など具体的に書かれているケースもある。

21日には、F1がインドで「F1 TV Pro」を開始すると発表していた。インドのようにライブ中継などを行う事業者がいない国の場合、F1公式アプリで英語による解説付きでライブ映像を観る事ができるサービスだ。アプリの費用は月額3.99ドルまたは年額29.99ドルで、日本で「F1 TV」契約をするのと同程度のリーズナブルな金額だ。

日本ではフジテレビかDAZNが放映権を持っているため、日本で「F1 TV」の契約をしてもライブ中継は観る事はできない仕組みになっているが、フジテレビかDAZNでは日本語による解説付きで観ることができるのが最大のメリットだろう。

■F1側は放映権で何をしているのか

今回、F1が発行したDAZNとのプレスリリースには「インターネット」や「テレビ以外のデジタルデバイス」など制限の表記はされていない。もちろん本契約書には細かい条項は書かれているだろうが、DAZNの契約担当者しか詳細を知る事はできないだろう。

一方、F1が発行したフジテレビとのプレスリリースには、「CS channel(CS放送)」との表記、さらに「Fuji TV NEXT LIVE Premium」 と“同時に放送”する「Fuji TV Nextsmart」と具体的なチャンネルとサービス名の表記がされていた。

F1側は血も涙もない厳しい要求しかしないと思われがちだが、F1側は厳しくて難しい要求はしてくるものの、これまでの長年のパートナーシップを大事にしてくれることや、お国事情や会社の事情などを考慮してくれるという話は関係者の間ではよく聞かれるもので、交渉については一般的によくある日本企業と外国企業の方法の違いという側面もある。

F1側としては、F1の映像を流して、F1ファンを増やして盛り上げてくれる努力をし、権利料をちゃんと支払ってくれる企業を望んでいるので、フジテレビにもDAZNにも満足していることだろう。

世界各国から集まった放映権利料は、F1運営側やチームにも分配されており、F1のさらなる発展のために使われる。我々が払う月額視聴料は、間接的にF1のために使われていると考えればいいだろう。

いずれにせよ契約の詳細を見る事はできないものの、日本のファンはこれまで通り、2025年までフジテレビかDAZNを選んで観る環境は整った。あとは各人の好みや環境などの事情を考慮し、F1全セッション生中継を楽しめることは朗報だろう。

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