メルセデスは2023年シーズンも昨年に引き続きユニークな“ノー・サイドポッド”と呼ばれるコンセプトを取り入れたF1マシンで戦うことにしている。しかし、チーム代表のトト・ヴォルフによると、それが変更される可能性もあるようだ。
2022年シーズンをわずか1勝しかできないという不本意な結果で終えたメルセデスだが、15日(水)にはカーボンブラックを基調とした2023年型マシン『W14』を発表。その後、メルセデスで2年目のシーズンを迎えることになるジョージ・ラッセルがシルバーストン・サーキットでそのマシンのシェイクダウンを行っている。
■数レース後にはマシンに変化も?
今年のメルセデスF1マシンは、2021年のマシンを彷彿とさせる黒がベースとなっている。だが、2021年は反人種差別運動を支援するために黒に塗装されていたが、今年は素材であるカーボンの黒がそのまま生かされた部分も多くなっている。その目的はマシンの軽量化のためだ。
ヴォルフはこれについて次のように語っている。
「今回、我々は余分な重量を取り除くことができる場所を見つけようとしたんだ」
ヴォルフはさらに、“ノー・サイドポッド”コンセプトも数レースを経た時点で見直される可能性もあると示唆している。
「序盤の数レースが終わった時点で、いろんなことが少し変わるだろうね」とヴォルフは語った。
■エンジニアたちを信じているとハミルトン
一方、通算7回のF1ドライバーズタイトル獲得記録を持つルイス・ハミルトンは、昨年レッドブルとフェラーリに負けてしまったにもかかわらず、そのマシンコンセプトを今年も継承することにしたチームは「勇敢」だと賞賛している。
「ほとんどのチームがレッドブルのコンセプトに移行していると思う。フェラーリを除けばね」
「僕たちは昨年とよく似たマシンで新たな選手権に臨むことになる。なぜなら多くの構成要素を変更することは難しいからね。でも、僕はエンジニアたちを信頼しているし、僕たちは自分たちのコンセプトに忠実であり続けるつもりだよ」
だが、15日に行われたシェイクダウン走行では小さなエンジントラブルが発生したようだとの噂もささやかれている。さらに、昨年苦しめられた“ポーポイズ現象”の問題が解決されたかどうかについて質問されたラッセルは、23日(木)からバーレーンで行われるプレシーズンテストに言及しながら次のように答えるのみだった。
「それは来週になればわかるよ」
■ハミルトンの年齢は問題ではないとヴォルフ
一方、現在のメルセデスとの契約が今シーズンまでとなっているハミルトンは、新しい契約にサインしたいと考えていることを隠していない。そして、ヴォルフは、ハミルトンの38歳という年齢がその障害になることはないと主張している。
「私は、トム・ブレイディのことを考えているんだ。彼は44歳、45歳になってもピッチに立っているよ」
今年2月に引退を表明したアメリカンフットボールの伝説的プレイヤーの名前を引き合いに出しながらそう語ったヴォルフは、すでにハミルトンとの交渉は始まっていると次のように付け加えた。
「我々は(契約に向けて)最初の話をしたし、さらに適切な時期を見つけていくことになるよ」。