今年は昨年よりもわずかにF1マシンの最低重量が減らされる計画となっていたが、これは見送りとなったようだ。
■10年前との比較では156キログラムも重くなったF1マシン
ドライバーやチーム関係者の中には、近年のF1マシンの重量が劇的に増加してきていることに苦言を呈している者が多い。
実際のところ、10年前には642キログラムだったマシン最低重量が2022年には798キログラムとなっており、実に156kgも増加してきている。
2021年と2022年のF1チャンピオンであるレッドブルのマックス・フェルスタッペンも、この問題について次のように語っている。
「今はマシンの重量がものすごく重くなっている。僕はそれはいいことではないと思う」
「だけど、それに対する迅速な解決策があるとは思わないよ」
■予定されていた2キログラムの減量が見送りに
F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)の技術部門も、少しでもF1マシンの軽量化を図ろうと考えていたのは確かだ。昨年6月末に発表された2023年の技術レギュレーションでは、最低重量が796キログラムとされており、今年は昨年よりも2キログラムの低減が図られることになっていた。
だが、このほどドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』が報じたところによると、最終的には2023年の技術レギュレーションにおいても、F1マシンの最低重量は昨年と同じ798キログラムから変更されないことになったという。
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』によれば、最新のF1技術諮問委員会では、最低重量を昨年よりも1キログラム減の797キログラムにすべきだという意見が出された一方で、逆に1キログラム増やして799キログラムとすべきだとの主張した者もあったという。
結局、今年もF1マシンの最低重量は798キログラムに据え置かれることで決着を見たようだが、噂によれば、F1公式タイヤサプライヤーであるピレリが開発した2023年仕様タイヤが昨年よりも1キログラムほど重くなったのがその大きな原因ではないかとも考えられているようだ。
■今年のF1マシンは昨年よりも遅くなる?
いずれにせよ、2022年に導入された新技術レギュレーションによってグラウンドエフェクト効果を持つマシンに生まれ変わったF1だが、その副反応とも言うべきポーポイズ現象に悩まされたことなどもあり、1周のラップタイムという点では2021年までのマシンよりもわずかに遅くなっていたのは事実だ。
今年の技術ルールでは、そのポーポイズ現象対策として、フロアのエッジをこれまでよりも15ミリメートル高くするなどの修正が施されている。こうしたことにより、今年のF1マシンはさらにスピードが遅くなるだろうと予想している者もいるようだ。
だが、今年からFIAのシングルシータ-ディレクター職に就くことになった前技術責任者のニコラス・トンバジスは、「しかし、それは通常の車両開発によって相殺される」と語り、今年のF1マシンが昨年よりも遅くなることはないだろうと予想している。